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壱岐産業の挑戦 〜「現場をイキイキ」と森のサブスク里山ReReReで、楽しく再生する地域資源活用〜

はじめに

「株式会社壱岐産業」は仙台市泉区に位置し、「現場をイキイキ壱岐産業」を合言葉に、「安全をたかめる」「関係をふかめる」「環境をつなげる」ツールの企画販売を展開しています。また、里山の保全・利活用を目的とした長期レンタル型の取り組み「森のサブスク 里山ReReRe(レレレ)」(宮城県栗原市)を運営しています。荒れていく里山を「程よく使い、楽しみながら再生する」場に変える挑戦は、地域資源活用の良い事例です。今回は、株式会社壱岐産業 代表取締役 長谷川嘉宏さんにお話を伺いました。

支援事業参加の背景

Q.支援事業に参加したきっかけは何ですか?

なりわい課主催の農山漁村イノベーション研修を受け、こうした支援事業の存在を知りました。これまでは自分のイメージで走ってきた部分が大きかったので、専門家から違う角度のアドバイスをもらえば何か変わるのではと考え、参加しました。

Q.実際に参加してよかったことは何ですか?

まず「森のサブスク 里山ReReRe」という名称を定められたのが大きな一歩でした。テーマは「楽しみながらRe-creation(森と人と地域の再生)」。山でのイベントオンリーから、仙台市内でも紹介イベントを行うようになり、接点を広げられました。年間スケジュールを決め、その通り運営する体制に改めたことで分かりやすさも向上。3種類の会員ランクと会費の設計も固め、キャンプ協会へ加入するなど活動の幅を広げることにもつながりました。

Q.もう少しこうなったら…と思った点は?

単年度型なのでやむを得ませんが、1年通期で伴走いただけると理想です。実際は4~5か月の伴走でした。ただ、県の方やプランナーが親身に継続支援してくださり、違和感なく進められました。制度以上に「人」が重要だと感じます。新たに受ける方にも、皆さん親身に向き合ってくれることはお伝えしたいです。

里山ReReReの狙い

Q.「森のサブスク里山ReReRe」とは?

コンセプトは「森のまんま Forest-Style」。

3つのReを掲げています。

  • 利用する人のRe-creation(癒しと野生覚醒)
  • のRe-creation(程よい管理)
  • 山主さんのRe-creation(里山地域の森に対する有用認識革新)

1年単位のサブスクリプション(長期レンタル)で森に通い、魅力を深く知って愛着を育む仕組みです。一定の条件下で居心地の良い空間づくりを自由に楽しめます(年間5本までの伐採OKなど)。利用者同士や周辺住民、地域との良好な関係維持にも配慮しています。

“程よく使う”が里山保全

Q.里山を活用しようと思ったきっかけは?

荒れていた山を整備した経験から、「整備そのものを楽しんでほしい」と感じたのが原点です。完全に整備してもすぐ荒れます。だから“程よく木を切る”管理を続けることが大切です。里山は本来“利用してほしい”場所。奥山と里の間をつなぎ、生態系にとっても価値があります。大学で森林生態学を学び、東北中を回るなかで荒れた里山を見るたび心が痛みました。弊社の安全ツールも、まさに里山で働く人たちに役立つ。森も人もハッピーになれる手立てとしてReReReを形にしました。

里山は“最高の遊び場”

Q.利用者の反応は?

「山は奥深いところ」という先入観があるので、車を停めてすぐ入れるアクセスの良さに驚かれます。中に入ると清々しく心地よいと好評です。森林セラピー体験会では30分ほど“何もしないで横になる”体験を実施。日常では得難い時間で、「山を感じられた」「貴重な体験だった」と言っていただきました。晩秋のキャンプでは、近くの伊豆沼上空を何千羽もの雁が渡る壮観に「豊かな自然」を実感する声も。小学生が泊まりで参加するなど、里山は“最高の遊び場&育みの場”だと再確認しています。

Q.イベントが雨天の時はどうしますか?

基本は小雨決行です。これまでイベントは「27回連続晴れ」。とにかく晴れます(自称・晴れ男)。実際には風の対応が難しい場面もありますが、安全第一で運営しています。

地域資源活用を目指す方へ

Q.生産者・事業者へメッセージをお願いします

皆さんそれぞれにアイデアがあるはずです。だからこそ、全く違う視点を得る機会として、こうした支援プログラムを活用するのは良いきっかけになります。外部の伴走を受けつつ、自分の理想を磨いて、より良い地域を一緒に作っていきましょう。里山の保全は「大いに利用すること」。地域資源を“程よく使う”視点で、楽しみながら再生する仲間が増えることを願っています。

さいごに

荒れていく里山を「森のまんま」に近い形で、ほどよく使いながら再生する——壱岐産業の取り組みは、地域資源活用の原点を思い出させてくれます。小さく始めて磨き続けることで、地域の風景も、暮らしも、確かに変わっていきます。楽しみながら再生する仲間の輪を、広げていきましょう。

[インタビュー企業HP]

HP:https://iki-sangyo.co.jp/

Facebook:森のサブスク 里山rerere

ベリープラネットの挑戦 ~地域農業の新展開~

はじめに

「燦燦園・ベリープラネット」は宮城県山元町及び仙台市に位置するイチゴ農園です。イチゴの栽培からイチゴ狩り、イチゴを使ったスイーツの開発・販売を行っています。仙台に新しくオープンした「仙台ハーベストビレッジ」内では、イチゴ専門スイーツカフェ「甘熟イチゴ屋 燦燦園ハーベストビレッジ店」が新オープン。また、「イチゴ狩り体験」もできます。地域農業の新しい形を模索する燦燦園。気候変動への対応やインバウンド需要の取り込みなど、様々な挑戦について代表取締役 深沼陽一さんにお話を伺いました。

支援事業参加の背景

Q.支援事業に参加したきっかけは何ですか?

ララガーデン長町にある甘熟イチゴや 燦燦園(ララガーデン店)の時から支援事業にはお世話になっていました。「農業、イチゴはどこまでいけるのか」というのを追求したかったんです。

催事はやっていましたが、飲食店をやっていく、イチゴスイーツをつくって出荷していくうえで知らないことが多かったです。そういったことを学びたく支援事業に参加しました。

教えてもらったことも多かったですし、人との繋がりも持たせてもらったので気軽に聞けるのはありがたかったです。

Q.6次化をはじめたきっかけは?

農業の経営の中で、イチゴの可能性をもっと広げたいと思いました。生産だけではなく、加工や販売、体験まで含めて、農業の付加価値を総合的に高めていきたいと考えました。

気候変動と苗の危機

Q.燦燦園で栽培している品種について教えてください。

「とちおとめ」と「紅ほっぺ」を中心にやってます。実は宮城県内の生産者のほとんどが「もういっこ」と「にこにこベリー」という品種に切り替えてます。ただうちで一番頑張っているのはあくまでも「とちおとめ」と「紅ほっぺ」で、あとは「かおり野」や「もういっこ」や「にこにこベリー」等の品種もあります。

Q.2025年のイチゴ栽培はどうでしたか?

本当に大変でした。まず、暑さ対策のために津波被災地の涼しい場所に新しい育苗ハウスを作ったのですが、そこで大きなヒューマンエラーを起こしてしまいました。うちの父が育苗をしていた場所がすごく涼しくて風が入るので、そこで2、3年前に育苗をしてみたら、やっぱり良かったです。ただそこは津波を浴びた後なので、何もないところで、水道管が通ってないです。水道を通すにはだいぶ遠くから引っ張る必要があり、それはあとでやろうねと言いながら、井戸水を利用しています、井戸水を一時貯蔵するタンクに念のため塩素を少し入れて除菌していたのですが、2人が同じ作業をしてしまい、2回塩素が入った濃度が高い水で水やりをしてしまいました。その水がかかった苗は全て倒れました。最初は「除草剤かけられたかな」と思ったくらいショックでしたね(笑)。そこから色々と調べ、周りの農家の仲間にも見てもらったら、除草剤の枯れ方ではないと。それで井戸水を調べたら、塩素濃度が高すぎたと判明しました。

Q.その危機をどう乗り越えましたか?

いろんな仲間から苗をいただいて、なんとか80〜90%くらいまで回復できました。今はチェックリストができたので、もうそういうことはないです。本当にびっくりするくらい6万本も倒れましたから。

Q.2025年の気候はイチゴの生育に影響ありましたか?

ありました。今年に関してはやはりあまりにも暑い日がずっと続いて、暑いのはわかっていましたが、その暑さが自分たちの常識を超えていました。その影響でやっぱり病気等がすごく出ました。それと全国的に、イチゴの一番果が非常に早く出てきてしまいました。その結果、クリスマスの時期にケーキに乗せる小ぶりなイチゴが全国的に不足しました。今までにないことです。
栃木で主に生産する品種が「とちあいか」に変わったのも影響しています。とちあいかは基本的にクリスマスは狙わない品種なので、一番産地が狙わなくなっちゃった。玉が小さくならないのでクリスマスにケーキに乗せられないです。一番産地が狙わなくなったので、余計に気候的の問題も重なり大変でした。

大変ではありますが、気候変動への対応も続けて、技術的な工夫を重ねながら、お客様に喜んでもらえるイチゴを作り続けることが、私たちの使命だと思っています。

お客様対応とインバウンド需要

Q.お客様への対応で心がけていることは?

イチゴ狩りの時にどうしてもイチゴが少ないときは、イチゴのパックをお渡しするときもあります。元気に気持ちよく帰っていただくのが絶対です。お客さんに状況を説明して、「こいつらなら許す」と思ってもらえる関係性を築くことも大事だと思っています。極力お客様がいらっしゃる時は出てきて様子見たり話しかけたり、コミュニケーションを大切にしています。

Q.インバウンドのお客様は増えてますか?

はい、去年も結構来てもらったんですけど、今年に関してはそのお客さんからまた連絡来たり、ツアー会社から連絡が来たりします。特に台湾や上海からのツアーのお客様が来てくださっています。
1件あたり20〜40名くらいで、銀山温泉や松島観光と組み合わせて訪問されます。台湾では1パック1,500円で販売されるイチゴが、日本では食べ放題で楽しめるというのが大きな魅力みたいです。

Q.インバウンドのお客様の反応はいかがですか?

すごい元気に喜んでくれるんですよ。スケジュールがタイトなツアーも多いですけど、お客様とのコミュニケーションを大切にしながら、丁寧に対応しています。

今後の展望、6次化の更なる挑戦

Q.今後力を入れていきたいことは?

農業の付加価値向上です。ただ値段を上げるという話ではなく、総合的な付加価値を上げていきたい。つまり「体験」ですね。商売でいうと3000円のものを4500円で売るというのではなく、イチゴも買って、これもやってこれもやって結果4500円だったという形です。ララガーデンとか他のお店で商品を買った人が、ハーベストビレッジまで来てイチゴ狩りをしてくれるとか、そういったことも含まれます。

食育のイベントも力を入れています。

また、3つハウスがあるなかで、1つのハウスでわんちゃんとイチゴ狩り体験というイベントも行いました。繁忙期過ぎたGW明けに挑戦してみましたが、反響があってとてもよかったです。

今はハウスを少し改造中です。ハウスの中で素敵な体験をできる環境を整えている最中です。イチゴ狩りをした人が非日常感を味わえる空間にし、滞在時間を増やしたいと考えています。

今のものを伸ばしていくのも大事だけど、0→1を創る。ないものを創っていけたらいいなと思っています。

Q.6次化に挑む生産者へメッセージをお願いします

6次化は大変ですよ。今でもまだまだ挑戦中です。

6次化の考え方として、今捨てているものを加工して売ろうという定義がありますが、これだとたいしたことになりません。お金にならず、ただ大変なのでやらなくてもいいと思います。設備投資したとしても、ダメになったイチゴはこれしかないから作れないということが起こります。自分の出荷量を落とすくらいに考えていく必要があります。その方が面白くなります。販売先やケーキ屋さんとかみんな6次化をしています。そういったところを見てみるとヒントがあるのかなと思います。

さいごに

燦燦園・ベリープラネットの挑戦は、地域支援が単なる「助け」ではなく、「ともに挑戦するパートナーシップ」であることを示しています。一つひとつの課題に泥臭く向き合う姿勢が、地域農業の可能性を広げています。

これから6次産業化に挑戦しようと考えている方は、ぜひ燦燦園・ベリープラネットの取り組みを参考にしてみてください。

【インタビュー企業HP】

HP:https://www.beripla.jp/

Instagram

いちご屋燦燦園:@sunsunen.ichigo

甘熟イチゴや 燦燦園:@ichigo_sunsunen

仙台ハーベストビレッジHP:https://sendai-harvestvillage.com/

 

後編:未来彩園の挑戦 ~6次産業化で広がる可能性~

はじめに

「㈱未来彩園」は、宮城県黒川郡大衡村にある最新技術を活用し、農福連携しながらトマト栽培を行う農園です。自然環境に配慮した有機栽培やコンピューターによる潅水・環境制御を取り入れ、病害虫が少ない安全・安心なトマトを提供しています。今回は、常務取締役の瀬尾誠さんに、未来彩園の取り組みや6次産業化への挑戦についてお話を伺いました。後編では、6次産業化への挑戦と商品開発の裏側、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします。

6次産業化への挑戦

Q.6次化に挑戦しようと思ったきっかけは何ですか?

廃棄されるトマトを活用した商品を作りたいと思ったのがきっかけです。最初はピューレや味付きの商品を考えましたが、業務用としては味付けがない方が使いやすいことが分かり、1次加工品に方向性を変更しました。こうした商品開発には、ローカルフードプロジェクト(LFP)の支援が欠かせませんでした。

Q.商品開発で苦労したことは?

自社で加工施設を作るのは現実的ではないため、まずは連携先を探そうというスタンスで進めました。マーケティングやテイスティングを仕組みの中で行うことで、より効果的に商品開発を進めることができました。また、会社内で試食を重ね、さまざまな意見を取り入れながら商品を改良していきました。

[トマトクリームリゾット缶詰]

3,500円(税込み、送料込み)『地産地消・防災ごはん缶』

未来彩園のトマトを使用し、木の屋石巻水産様と共同開発 したトマトクリームリゾット缶詰めです。

https://www.miraitomato.com/pages/24/

6次化を目指す生産者へのメッセージ

Q.6次化に取り組む生産者へメッセージをお願いします。

6次産業化を成功させるには、他の方々との連携が最大のポイントです。自社だけで完結しようとすると失敗する可能性が高いです。これまでの経験から、農商工連携や行政の支援を活用することが重要だと感じています。

また、補助金の仕組みを理解し、経営上の課題に対応していくことも必要です。6次化は簡単ではありませんが、地域の資源を活用し、連携を深めることで道が開けるはずです。

さいごに

未来彩園の挑戦は、6次産業化を目指す生産者にとって、農業の可能性を広げる貴重な事例です。廃棄トマトを活用した商品開発や、福祉との連携を通じた地域貢献は、単なる農業の枠を超えた新たな価値を生み出しています。

6次産業化は、地域資源を活かしながら、持続可能な農業を実現するための重要なステップです。未来彩園の取り組みを参考に、地域の課題を解決しながら新たな可能性を切り開いていきましょう。

[インタビュー企業HP]

https://www.miraitomato.com/

 

後編:布田ファームの挑戦 ~農福連携×販路×発信で「続ける・育てる」

はじめに

「株式会社布田ファーム(Irodori.Kitchen)」は宮城県岩沼市にあるお米ときゅうりをメインに生産している農家です。自身で育てたお米や季節野菜を使い、米粉スイーツや総菜を製造・販売しています。また、障害者就労支援B型事業所の施設外就労を受け入れています。今回も、主にきゅうりの生産などを手掛ける布田幸子さんと2児の母で農家に嫁いできたこときっかけに加工業を始めた布田彩さんにお話しを伺いました。

後半では農福連携や販促について、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします。

農福連携(障害者就労支援B型)で季節のボトルネックを解消

Q.連携のきっかけと、軌道に乗るまでの流れは?

(幸子さんは)介護・障害者施設の生活支援員として働いた経験があり、皆さんの仕事ぶりを知っていました。きゅうりを始めた当初から来てもらいましたが、重量・長さなどの規格ごとの仕分けは難度が高く、最初はうまく連携できない場面もありました。そこで市役所紹介の「農福連携セミナー」に参加し、「きゅうりに時間を取られて他の畑仕事ができない」という課題を共有。間に入ってくれたNPO法人の方から障害者就労支援B型事業所を紹介いただき、工賃などを取り決めて正式に連携を開始しました。

Q.現在、どのような作業を担ってもらっている?

草取りや大根の収穫・洗浄・袋詰め、種まき、白菜の管理など畑全般をB型の皆さんが担当。私たちはきゅうりに専念できる体制です。ピーク期(6月中旬〜)に手薄になる夏野菜(オクラなど)の種まきから定植までを任せられるようになり、夏場の収入確保につながっています。

販路と発信―SNSとマルシェで「見つけてもらう」

Q.SNSを始めた狙いと工夫は?

取り組みを知ってもらう手段が少なかったため、写真中心のInstagramが集客に最もつながると考え、ビジネスアカウントを開設しました。なかなか投稿できない時もありますが、イベント情報や販売スケジュールを見やすく投稿するよう心掛けています。先輩農家さんや6次化に取り組んでいる皆さんのデザイン・見せ方も参考にしながら無理なく続けています。

Instagramはこちらから!

株式会社布田ファーム @fuda_farm

Irodori.kitchen(加工部門) @iro.k_iwanuma

Q.マルシェ出店時のお客様の反応は?

「米粉100%」「県内産中心の原材料」を求める方が多く、グルテンフリー志向のお客様にも喜ばれます。試食後のリピート購入や「小さな子にも食べやすい(はちみつ不使用)」という声が励みです。他のマルシェ参加者さんの包装の仕方や商品などを見て気づくことも多く、情報収集と学びの場としても有効だと感じています。

支援事業で得たことと、6次化への実践ポイント

Q.印象に残った支援は?

事業計画・メニュー開発・機器選定・衛生指導まで、立ち上げに必要な要素を一気通貫で伴走いただけたこと。自分たちだけでは分からないまま続けてしまう部分をプロの視点で補ってもらえました。規格外きゅうりの価値化(ピクルス)も、その延長線上の成果です。

Q.6次化に挑む生産者へメッセージをお願いします。

「やりたいことを言語化して発信する」ことが第一歩です。補助事業の活用や人脈の広がりはそこから生まれます。外部の力を借りれば実現できることは増えますし、情報収集もしやすい時代です。面白そう・食べてみたいと感じたらアンテナを張って動くことが大切です。情報発信と学びの両輪で、少しずつでも前進するのが大切だと思います。


布田ファームの歩みは、身近な資源を丁寧に磨き、外部の力も取り込みながら「できること」を積み重ねていく実践例です。これから6次化に踏み出す方のご参考になりましたら幸いです。

[インタビュー企業紹介]

株式会社布田ファーム Instagram @fuda_farm

Irodori.kitchen(加工部門) Instagram @iro.k_iwanuma

前編:布田ファームの挑戦 ~地域資源×加工×支援で「はじめの一歩」を形に

はじめに

「株式会社布田ファーム(Irodori.Kitchen)」は宮城県岩沼市にあるお米ときゅうりをメインに生産している農家です。自身で育てたお米や季節野菜を使い、米粉スイーツや総菜を製造・販売しています。また、障害者就労支援B型事業所の施設外就労を受け入れています。今回は、主にきゅうりの生産などを手掛ける布田幸子さんと2児の母で農家に嫁いできたこときっかけに加工業を始めた布田彩さんにお話しを伺いました。

支援事業参加の背景と、加工のきっかけ

Q.支援事業へ参加したきっかけは何ですか?

加工場の設整備と機材導入の補助金に応募した際、加工を本格化するには食品衛生の指導が不可欠だと考え、衛生面の支援も合わせて申請しました。

Q.実際に参加してみてどうでしたか?

経営の事業計画づくりから着手しました。メニュー開発は料理研究家の佐藤千佳さんにご指導いただき、機材面はホシザキさんの協力で、規格外きゅうりのピクルスが製品化しました。味のベースは先生のレシピを起点に派生していっています。プロの知見と機械の使い方まで伴走いただけたのが大きかったです。

Q.加工を始めた経緯は?

原点は幸子さんが作っていたシフォンケーキがきっかけです。「Komeco.Factory」という屋号でした。米価が安い時期に「付加価値をつけたい」と考え、直売所(ハナトピア岩沼)で小さく販売していました。彩さんが結婚を機に家に入り、妊娠中にきゅうり栽培を手伝いながら米粉菓子の製造も開始しました。お客様の定着と需要増に伴い、プレハブの小さな加工場では限界が見え、市役所に相談。支援制度の紹介を受け、現在のIrodori.Kitchenへ発展しました。

地域食材へのこだわりと、行政との橋渡し

Q.事業を進めるうえで大事にしていることは?

「なるべく地域の食材を使う」ことです。自分たちの米・きゅうりを軸に、ハナトピア岩沼時代から付き合いのある生産者さんの農産物を仕入れます。りんご・姫りんご・ゆず・しいたけ・いちじくなど旬の食材を取り入れ、季節ごとの美味しさを商品に生かしています。


後編では農福連携や販促について、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします!

[インタビュー企業紹介]

株式会社布田ファーム Instagram @fuda_farm

Irodori.Kitchen(加工部門) Instagram @iro.k_iwanuma

庄福丸の挑戦 ~漁業の未来を切り拓く~

 

はじめに

「株式会社庄福丸」は、宮城県亘理町を拠点とし代々海と共に暮らし漁業を営んできました。漁獲から加工・製造、流通までを自社で行い、時代の荒波に負けない強い魚食文化を作ることを目指しています。今回は、先代から事業を引き継いだ加工部門責任者 清水谷結香さんに庄福丸の取り組みや6次産業化への挑戦についてお話を伺いました。

支援事業について

Q.支援事業へ参加したきっかけは何ですか?

支援事業に参加したのは令和3年度、コロナ禍で消費が落ち込み魚に値段がつかない厳しい時期でした。競りを開いても魚が売れず、どうにかしなければならない状況の中で加工に力を入れることを決意し、頭や鱗を落とすなどの簡単な加工しかしていなかったところから、弁当惣菜などの本格的な加工に取り組み始めました。

また、HACCP(食品衛生管理システム)の法律が厳しくなり、経営の知識が乏しい中で事業を継承するタイミングだったこともあり、支援事業を「駆け込み寺」として活用しました。

Q.実際に支援事業に参加してみてどうでしたか?

支援事業では、経営の基礎を学び、黒字化に向けたシートを作成してもらいました。例えば、黒字にするにはいくら売らなければならないか、産直事業をどう進めるべきかなど、具体的な指導を受けました。さらに、飲食店とのマッチングを通じて販路を拡大し、仙台を中心に約30店舗に新鮮な魚を届けることができるようになりました。

ただし、支援事業の初期段階では、事前のすり合わせが不足していたため、方向性がズレることもありました。もっと要望を出していれば、さらにスムーズに進められたかもしれません。それでも、売上は伸び徐々に成果を上げています。

漁業の強みを活かす

Q.漁業の強みをどのように活かしていますか?

漁師の最大の強みは「鮮度」です。低未利用魚などの市場に出回らないような魚を飲食店に直売することで、安く新鮮な魚を届けることができます。特に「神経締め」といった高鮮度処理を施しており、魚の細胞を生かし旨味成分を守ることで、切り身の鮮度が1週間後でも保たれるようにしています。

また、一般の消費者の方や飲食店の方に漁業の現場を知ってもらうことも大切にしています。浜の風景や漁の様子を見てもらうことで、食材としてのストーリーに深みが増し、魚を食べる際の受け取り方が変わると感じています。また、漁業の過酷さや面白さを知ってもらうことで、魚食文化をより身近なものにしていきたいと思っています。

イベントや食育を通じた地域貢献

Q.イベントや食育の取り組みについて教えてください。

漁業者として、地域のイベントに積極的に参加しています。例えば、わたりふるさと夏祭りでは、低未利用魚などの漁業の現場で扱いにくい魚を、お弁当やお惣菜などの加工品として販売しています。夏場は魚が獲れない季節ですが、イベント販売などで売り上げを補っています。

また、保育園での食育授業にも取り組んでいます。管理栄養士の方とのつながりをきっかけに、子どもたちに魚を食べる楽しさを伝える活動を2年間続けています。漁師としての経験を活かし、漁の様子や海の現状、実際に水揚げした魚を使って魚の特徴や内臓の説明を伝えており、魚の命をいただき、食卓に上がるまでの過程を知ってもらうことを大切にしています。

 

大切にしていること

Q.事業を進める中で一番大切にしていることは何ですか?

私たちは「現場主義」を大切にしています。漁業の現場を知ることで、魚を食べる際の価値が変わると信じています。私自身も船に乗るまで漁業の過酷さや面白さを知らず、現場を見て初めてその魅力に気づきました。また、魚離れが進む中で、魚のさばき方や食べ方を伝え、魚を身近な存在にすることが重要だと考えています。イベントや食育を通じて、魚食文化を次世代に繋げていきたいと思っています。

6次産業化を目指す生産者へのメッセージ

Q.6次産業化に取り組む生産者へ応援メッセージをお願いします。

6次産業化を進める上で、今まで対面していなかった消費者と向き合うことになるので、考える頭は多い方がいいと思います。漁業の専門知識がない方でも、知らないからこその意見が新たな視点を与えてくれることがあります。支援事業に参加したことで、たくさんの意見をもらい、浜の視点だけでなく様々な立場の消費者の声や気づきを得ることができました。

試しにやってみようくらいの気持ちで応募してみることが、次のステップへのきっかけになるかもしれません。色々な人の知恵を借りてアイデアを出すことで、進むべき道が見えてくるはずです。

最後に

庄福丸の挑戦が、漁業の可能性を広げる新たなロールモデルとなることを期待しています。鮮度へのこだわりや、イベント・食育を通じた地域貢献は、漁業の枠を超えた価値を生み出しています。

6次産業化は、地域資源を活かしながら持続可能な事業を実現するための重要なステップです。産業のベースであり、人々の生活を食の面から支える一次産業の担い手として、これからも地域の活性化に貢献したいと思います。庄福丸の取り組みが地域課題の解決の一例になれば幸いです。

[インタビュー企業]

株式会社庄福丸

HP:https://www.shofukumaru-watari.com/

Instagram:@shofukumaru_watari

 

リロカリコクリの挑戦 ~「田舎で創り田舎で過ごそう」を事業にする、共創型6次化モデル~

はじめに

「リロカリコクリ株式会社」は宮城県加美郡加美町に位置する企業です。空き家の維持・管理、サテライトオフィスの運営、地場産品の商品開発、そして農業を主軸にした地域貢献・振興まで、地域課題の解決に関わる事業を総合的に展開しています。今回はリロカリコクリ株式会社 代表取締役 米津岳さんにお話を伺いました。

【リロカリコクリとは】

Life Re-localization in Regional co-creationを略してリロカリコクリ。

地域共創における生活の地域回帰という意味の造語です。
「田舎で創り田舎で過ごそう」という思いが込められています。

支援事業参加の背景と、伴走支援で描いた拡張戦略

Q.支援事業に参加したきっかけは何ですか?

当時の委託担当の方から声をかけてもらったのがきっかけです。事業の継続・拡大の道筋に悩んでおり、専門家に伴走してもらいながら「今後どう事業を拡大していくか」を計画したかったタイミングでした。過疎地域に必要なのは「雇用」と「人材育成」。それを実現するには事業拡大が不可欠という前提で、一緒に拡張計画づくりを進めました。

Q.実際に参加してみてどうでしたか?

中小企業診断士の方と事業の実態や課題を具体的に議論できたのが大きかったです。厳しい指摘にイラっとする場面もありましたが、会社運営に真剣に向き合うきっかけになりました。理想と現実を見極めつつ「理想を突き詰めるために、実現計画を数字と行動に落とす」姿勢が定着しました。東北農都総研さん等とのつながりも生まれ、ビジネスマッチングなど事業面のサポートが今も続いています。この計画がなかったら売上1,000万円には届かなかったかなと思います。視野と実行力を広げる起点になりました。

事業の軸—“地域に必要とされるか”、そして“人を大切にする”

Q.事業を進めるうえで大切にしていることは何ですか?

「その地域にとって必要とされているか」を最重要の軸に置いています。同じくらい「社員を大切にする」ことも重視しています。法人である以上、社会貢献が目的です。その中に、社員を大切にする、地域課題を見つける、雇用を作る、人材育成をする—といったミッションが入ってきます。空き家の利活用、移住定住の支援、地場産品の開発、農業の実践も、すべて地域課題の解決に繋がる流れの中に位置づけています。

事業の柱—“地域と共に創る”3本のコア

Q.事業の柱は何ですか?

3つの柱で展開しています。

  • コクリ農園

CO-CREATION=共に創る

移住先の空き家に“広大な農地”が付いていたことがきっかけで、未経験ながら「とりあえずやってみよう」という精神で農業を始めました。主な作付けはさつまいも・じゃがいも。ほかにも少量多品目で年間約80種類の野菜を栽培しています(栽培期間中は農薬不使用)。思い通りに育たないもどかしさもありますが、自分で育てた野菜はやはり格別。畑で収穫したその場でかぶりつく—都会の皆さんにも体験してほしい“人生で一番贅沢”とも思える瞬間を、野菜と体験を通じて届けています。販売は地元直売所・マルシェ・インターネットを中心に行っています。

  • 空き家の維持管理

空き家は「悪者」ではありません。家はその時代、その生活を映す“鏡”のような存在。人が住まなくなると途端に痛みが進むからこそ、適切な維持管理で住み続けられる状態を保つことが重要です。所有者に代わり、空気の入れ替え・点検・簡易清掃などの管理を行い、家の思いを次へ“つむぐ”サポートをします。空き家の放置が景観・衛生・安全・防犯に及ぼす影響を踏まえ、「管理と利活用」へつなげる取り組みです。

  • 小野田SO(サテライトオフィス) Mow-Mow

元牛舎だった建物をリノベーションして誕生した宿泊できるオフィスです。自然豊かな環境の中で仕事に集中できるよう設計し、コワーキングスペースとしての一時利用や、移住体験としての宿泊利用も可能で、「田舎で創り田舎で過ごそう」を体感できる拠点として運営しています。

6次化を目指す方へ—“やめるな”、理想に数字と共創を

Q.6次化に挑戦する事業者・生産者へのアドバイスをお願いします。

一言で言えば「やめるな」です。できない、意味がない、売れない…と言われることもあると思います。それで諦めるくらいなら最初からやらない方がましです。多様な意見に振り回されすぎず、自分の“軸”に必要な要素を付け足しながら前へ進んでください。融資や資金調達を目指すなら「数字」は不可欠です。ただし、それだけでは不十分で「熱意」と「信頼」も同じくらい重要です。達成できると自分が本気で思えるかどうか。そのうえで、地域で6次化を進めるなら「地域と共に創る(共創)」ことが鍵になります。地域の人、行政、支援機関、事業者同士が課題と資源を持ち寄り、一緒に事業を形にする—競い合うより“共に創る”姿勢が持続性を生みます。


地域の課題を事業に変え、暮らしの基盤を強くする——リロカリコクリの実践は、6次化を地域と共に創るプロジェクトへ押し広げています。「田舎で創り田舎で過ごそう」という合言葉のもと、コクリ農園・空き家の維持管理・小野田SO Mow-Mowの三本柱が、人と仕事と住まいをつなぎ直していきます。これから地域資源の活用を考えている方は、是非リロカリコクリの取り組みを参考にしてみてください。次の一歩を踏み出すきっかけになりましたら幸いです。

【インタビュー企業】

リロカリコクリ株式会社

HP:https://re-localicocre.com/

Instagram

リロカリコクリ株式会社        @re_localicocre

小野田サテライトオフィスMow-Mow  @onoda.so.mow_mow

代表取締役 米津岳           @gyonezu

 

前編:自然卵農園の挑戦 ~自然卵「卵皇」と職人技でつくる6次化モデル~

はじめに

「自然卵農園株式会社」は南三陸町に位置し、自社養鶏場にてこだわりの自然卵「卵皇(らおう)」を生産。また、「卵皇(らおう)」を核に、クレープやプリンなどの菓子を製造・販売している企業です。2004年のキッチンカーからスタートし、現在は青葉区五橋の「自然卵のクレープ 五橋店」と、南三陸町ハマーレ歌津商店街の工場兼店舗を運営。店舗運営に加え、卸売やフランチャイズ展開にも取り組んでいます。震災を乗り越え、自然養鶏と菓子づくりを融合させて歩んできた代表取締役 大沼あかねさんに、6次化の実践と商品づくりについてお話を伺いました。

支援事業参加の背景

Q.支援事業へ参加したきっかけは何ですか?

養鶏の拡大を目指していましたが、何から手をつければよいか分からず、専門家に伴走してもらいたいと思い参加しました。

Q.実際に参加してみてどうでしたか?

入口は「経営の見える化」でした。数字を見る習慣が根づき、経費の使い方など、意思決定の精度が上がりました。感覚だけに頼らず、事業の状態を数字で把握する重要性を実感しました。

自然卵「卵皇」へのこだわり

Q.「卵皇」へのこだわりは?

菓子づくりが原点なので「臭みを出さない卵」を目指しています。たっぷり運動させて卵白の弾力を引き出すこと、自由に歩ける飼育(平飼い)で健やかに育てること、餌にこだわることを大切にしています。一般に卵黄を濃厚にするため魚粉を使う場合がありますが、臭みの原因になり得るので、緑餌(生の草や野菜、葉物などの植物性飼料)を取り入れています。地域の農家さんから廃棄予定の野菜を譲っていただくなど、循環型の取り組みも重視しています。

菓子づくりの哲学—素材と職人技

Q.お菓子づくりで大切にしていることは何ですか?

「素材を活かすため、余計なものは入れない」ということです。一般に臭み消し目的で使うバニラエッセンスや、膨張剤(ベーキングパウダー)は使用しません。うちには強いメレンゲが立つ卵白があるので、シフォンケーキも膨張剤なしで焼き上げます。卵の強さは、鶏の運動量と餌がポイントです。

Q.技術面でのこだわりは?

一番大切にしているのは「職人技」。すべて手づくりで、湿度や生地の状態を肌感覚で調整します。例えばエンゼルフードケーキ(シフォンケーキの元祖)だと、工場に3人スタッフがいても、うちのクオリティで焼けるのは1人だけというような難しさがあるほど繊細です。卵も日により弾力が違うため、メレンゲの立て方も一定ではありません。経験に基づく微調整が品質を支えています。

Q.商品コンセプトは?

町の中の「ダサかわ」を狙っています。ちょっとダサいけどかわいい。素朴で、日持ちはしないけれど食べやすくおいしい。だからこそリピートしたくなる。派手さより“ずっと売れ続ける菓子屋”のイメージを大切にしています。


次回の後編では、事業の始まりと震災を経て自然養鶏へ転機を迎えた歩み、フランチャイズ展開、多様な働き方への貢献、そして6次化を目指す方へのメッセージをお届けします。

[インタビュー企業]

自然卵農園株式会社

「自然卵農園菓子工房」 Instagram @sizentamago_kasikoubou

南三陸町ハマーレ歌津商店街内

https://hamare-utatsu.com/welcome/welcome.cgi?item=231128152020

 

「自然卵のクレープ 五橋店」 Instagram @ofm_szts

宮城県仙台市青葉区五橋2丁目11−18  第三ショーケービル壱号館1F

五橋駅(南出口1)より徒歩3分

後編:やまうち農園の挑戦 ~6次産業化で広がる可能性~

はじめに

「やまうち農園株式会社」は、宮城県山元町にあるいちじくを中心に果樹を栽培する農園です。特に「完熟いちじく」へのこだわりを持ち、多品種のいちじくを栽培しています。やまうち農園の株式会社 専務取締役 山内裕貴さんと常務取締役 山内理恵さんに、6次産業化への挑戦や完熟いちじくへの思いについてお話を伺いました。

後編では、6次産業化への挑戦と商品開発の裏側、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします。

6次産業化への挑戦

Q.6次産業化に挑戦しようとしたきっかけは何ですか?

完熟いちじくは非常においしいのですが、熟しすぎたり割れてしまったりしたものは流通に乗せられません。でも、それらは決して悪いものではなく、むしろ一番おいしい状態です。これを何かに活用できないかと考えたのがきっかけです。

最初は補助金を活用しながら、いちじくのセミドライやグラッセを作りました。次にお菓子作りに挑戦しようとしたとき、素人が作ったものを売るわけにはいかないと考えました。そこで、国際ホテルのパティシエの方に教えていただき、コラボ商品を作ることができました。これが定番商品となり、6次産業化の大きな一歩となりました。

また、宮城県の郷土食として「いちじくの甘露煮」があります。こちらは、昔からの家庭の味ですが、年々家庭で作る方が減りました。そこで、バイヤーの方に相談しながら「いちじくの甘露煮」を作りました。宮城県の食文化を大切にしたいという思いから出来上がりました。

Q.商品開発で苦労した点は何ですか?

やはり、素人だけで商品を作るのは難しいということです。例えば、いちじくのグミを作る際も、ゼライスさんや県の方々、地元の高校生たちの協力があったからこそ実現しました。グミは特に技術が必要で、解けない、固まる、賞味期限が長いといった条件を満たすのは簡単ではありません。プロの技術を借りることで、安心して提供できる商品が完成しました。

また、商品開発を進める中で「できること」と「できないこと」を見極めることが重要だと感じました。自分たちだけで無理をせず、技術を持った方々に頼ることで、品質の高い商品を作ることができます。

6次産業化を目指す生産者の方へ

Q.6次産業化に取り組む生産者へのメッセージをお願いします。

6次産業化を目指すなら、まずは行政や県の支援を頼ることをお勧めします。自分たちだけで完結しようとせず、技術を持った方々に教えてもらうことが大切です。私たちも、国際ホテルのパティシエやゼライスさんなど、プロの方々に教えていただいたおかげで、しっかりした商品を作ることができました。

また、宮城県には「農産漁村なりわい課」など、6次産業化をサポートしてくれる機関があります。やりたいことがあるなら、まずは相談してみてください。一人で悩む必要はありません。技術を持った方々や行政のサポートを受けることで、きっと道が開けるはずです。


 

完熟いちじくへのこだわりや、プロの技術を取り入れた商品開発は、地域資源を活用した新たな価値創造の好例です。

これから6次産業化に挑戦しようと考えている方は、ぜひやまうち農園の取り組みを参考にしてみてください。地域の魅力を最大限に活かし、次世代に誇れる商品を一緒に作り上げていきましょう。

【インタビュー企業関連HP】

HP: https://yamauchinouen.weebly.com/

Instagram:@yamauchinoen (出店情報など掲載されています!)

前編:やまうち農園の挑戦 ~完熟いちじくへのこだわり~

はじめに

「やまうち農園株式会社」は、宮城県山元町にあるいちじくを中心に果樹を栽培する農園です。特に「完熟いちじく」へのこだわりを持ち、多品種のいちじくを栽培しています。今回は、やまうち農園株式会社 専務取締役 山内裕貴さんと常務取締役 山内理恵さんに、6次産業化への挑戦や完熟いちじくへの思いについてお話を伺いました。

信念

Q.支援事業へ参加したきっかけは何ですか?

県の方からお声がけいただいたことがきっかけです。事業を広げるためのヒントを得られると思い、応募しました。

Q.事業を進める上で大切にしていることは何ですか?

一番大切にしているのは「信頼関係」です。農業や食の世界では、信頼がなければ成り立ちません。お互いに尊敬し合える関係を築くことが重要です。例えば、品質をしっかり守り続けたことで、決まった納期で定期的に送るのではなく、「いいものが出来た時はいつでも送っていいよ」と言ってもらえました。こういった信頼を得られるのは本当に助かります。逆に、信頼を損なうようなことが少しでもあれば、すぐに関係が切れてしまう厳しい世界です。

こだわり

Q.いちじくの多品種栽培をしている理由は何ですか?

実は、いちじくの多品種栽培は父の趣味がきっかけです。でも、いちじくをもっと多くの人に知ってもらいたいという思いから、今では加工用・生食用併せて18品種を栽培しています。10年以上前は、東北地域でいちじくを食べる人はほとんどいなかったです。だからこそ、「いちじくって美味しいんだ」「こんなにいろいろな品種があるんだ」と知ってもらいたいです。いちじくの普及を目指しています。

 

Q.完熟いちじくへのこだわりについて教えてください

いちじくは育てるのは簡単だと思われがちですが、収穫して出荷するのがとても大変です。美味しく完熟したいちじくを収穫することにも、技術と経験が必要になります。そして、完熟したいちじくは柔らかく、虫が入っていないか、傷や割れがないか細かくチェックする必要があります。これを徹底しないと、本当においしいいちじくを届けることはできません。

Q.なぜ完熟にこだわるのですか?

本当においしいと思うものでなければ、いちじくは食卓に浸透しません。おいしいと思わないものは、次は買ってもらえないです。いちじくを「珍しい果物」ではなく、「普通の果物」として食卓に並ぶ存在にしたい。そのためには、完熟の状態で収穫し、本来の甘さやおいしさを届けることが大切だと考えています。


今回は、事業やいちじくに対する思いをお伺いしました。

後編では、やまうち農園が6次産業化に挑戦した背景や、商品開発の裏側について詳しくお話を伺います。6次産業化を目指す生産者の方々にとって、参考になるヒントが満載です。お楽しみに!

【インタビュー企業関連HP】

HP: https://yamauchinouen.weebly.com/

Instagram:@yamauchinoen (出店情報など掲載されています!)