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ケロケロの杜の挑戦~試行錯誤から生まれる攻めの6次産業化~

はじめに

「ケロケロの杜」は宮城県名取市、仙台空港近くに位置するイチゴ農園です。1年中イチゴが楽しめる農園として、カフェ事業やお土産品開発など6次産業化に挑戦しています。今回は山口睦美代表にこれまでの取り組みと今後の展望についてお話を伺いました。

支援事業への参加

Q.支援事業に参加したきっかけは何ですか?

カフェの事業を展開するというところからのスタートでした。自分たちでオペレーションを作ったりとかは難しいよねっていうことで参加しました。
また、常温で気軽に持ち帰れるお土産品を考えていました。既存の設備だと難しいということで、今は冷凍でのお土産品の開発と、キッチンカーでの展開という形で商品はちょっとずつ増えてきています。イチゴを捨てるのにもお金がかかっていたところを、しっかり活用出来たらという思いでした。

Q.支援を受けてみてどうでしたか?

やっぱりキッチンカーとは違った店舗の運用の難しさも実感しましたし、マニュアルまでオペレーションを落とし込んでいくというのが本当に大変だと思いました。

1年中イチゴ狩りを実現する栽培技術

Q.1年中イチゴ狩りができるのはなぜですか?

七ヶ宿(杜のいちご)での栽培経験を生かして、夏イチゴを栽培をしているからです。夏イチゴ自体があるのが珍しいので、そこをもっとPRしていきたいと思っています。
ただ、1年中おいしいイチゴを提供したいっていう気持ちはありますが、量がなかなか取れない時もあり…。量はお客様の満足度にも繋がるので、難しい部分もあります。

Q.栽培でこだわっているポイントを教えてください。

品種の選定と光合成を促すために炭酸ガスを出す装置を設置しています。名取の圃場には重油などを用いた暖房を置いていないですが、イチゴ農家は暖房機を使用しているところが多いです。寒い時期は暖房をつければ二酸化炭素が発生するので、光合成は促されますが、暖かくなってくると暖房を使わなくなったときに炭酸ガスを使用して光合成を促すことで、酸っぱくなりがちなところを甘く作れるように工夫しています。
山元町の圃場にもついているので、冬イチゴだけど4月、5月になってももっとおいしく、甘く作れるはずです。

SNS運用と集客戦略

Q.SNSに継続的に素敵な投稿が多いですが、どなたが担当されていますか?

内容はざっくり私が考えてます。画像作成などは業務委託でデザイナーさんにお願いしています。たまに私が撮ったやつが投稿されることもありますが、毛色違うなって思うんですよね。プロが作ると違います。あとはただ言いたいこと言ってるだけです(笑)空港からのルートなどわかりやすく伝えるようにしています。

Q.集客施策について教えてください。

いちごの収穫量には上限があるのでいちごが小さい時期、少ない時期でも楽しんでいただけるようにと単価を低く設定したパフェ作りプランを始めました。いちごには量だけでなくサイズの大小もお客様の満足度にもかかわるので小さいいちごを活かしたプランができたと思います。

オペレーションと人材活用

Q.パフェ作りはやはり人でがかかりますか?

パフェに関しては、タイミーさん(短期人材マッチングサービス)にもお願いしています。そのために、オペレーションの標準化にも取り組んでいます。何時までに何をするとか、何個このセットを作るとか、マニュアルにしっかり起こして、誰が来ても出来る状態にしています。そこに人が取られてしまうと、どうしても接客対応する人が減ってしまうので、週末は学生のバイトさんが入れば助かるんですけど、定着が難しいのでタイミーさんを頼っています。

海外からのお客様

Q.日常的に海外の方も多くいらっしゃいますか?

アジア圏の方が多くいらっしゃいます。台湾の方とかよくツアーでいらっしゃいます。
やっぱり自分で収穫するという体験が喜ばれます。あとは本当に写真。全然食べずに写真撮ってる方もいらっしゃいます。「今しか飲めないよ」と案内すると、キッチンカーでジュースとかフルーツティーを注文される方も多いので、有難いです。イチゴを持って帰ることはできないので、常温のお土産もあれば…という感じです。

これから挑戦する方へ

Q.6次化に挑む生産者へメッセージをお願いします。

やっぱり何を始めるにも初期費用はかかります。すぐにペイできるかっていうと、やっぱりそういうものでもないというところがあるので、適度に本業とのバランスをうまく取りながら進めていく必要があります。やっぱり生産ありきの6次化っていうのがあるので、生産をしっかり基盤に持って、できる範囲から始めていくというのがいいかなとは思いますね。

設備投資でいうと、キッチンカーを入れる時には補助金を活用したので、結構いいミキサーとか入れましたが、実際回すだけなら家庭用でも大丈夫という部分はありました。1台4,000円程の消耗品として考えるか、1台20万円の資産として考えるかというところです。お金をかけるところはしっかりかけますが、省けるところは省くという見極めも大事です。思ったより計画通りにうまくいかないので。

新しいことを始めるということに対しての補助金は色々と見かけるので、ハードルが低く自分に合うものを活用して進めていくのがいいかなと思います。

さいごに

「ケロケロの杜」の挑戦は、イチゴ生産という本業を基盤に、カフェ事業やお土産品開発、キッチンカー運営など、着実に6次産業化を進めています試行錯誤を重ねながらも、計画通りにいかないことを前提に柔軟に対応し、着実に事業を成長させています。
ぜひこの挑戦を参考にしてみてください。

[インタビュー企業HP]

HP:https://kerokero.kerokeroichigo.com/

Instagram:@kerokero_ichigo

地域連携とコラボレーション:単独では難しいことを、協業で実現

はじめに

6次化を一人で進めていると、「もっと生産量を増やしたい」「新しい販路を開拓したい」「認知を広げたい」という壁に必ずぶつかります。しかし、すべてを自分一人で解決する必要はありません。

地域の仲間と手を組めば、単独では難しいことが実現できます。生産者同士の協力、異業種とのコラボ、自治体や支援機関との連携。それぞれの強みを持ち寄ることで、販路も認知も信頼も広がります。

本コラムでは、地域連携とコラボレーションの具体的な進め方、成功のポイント、そして小さく始める方法をお伝えします。

なぜ地域連携・コラボレーションが必要なのか

単独の限界

  • 生産能力:自分一人では作れる量に限界がある
  • 販路:個人では大口取引や大型イベントに参加しにくい
  • 認知:一人で発信しても、届く範囲は限られる
  • 専門性:デザイン、営業、ITなど、すべてを一人でこなすのは困難

連携・コラボがもたらす5つの価値

① 生産力の向上

  • 複数の生産者で分担し、大口注文に対応

② 販路の拡大

  • 共同出店、共同販売で新しい市場へ

③ 認知の拡大

  • 互いの顧客にリーチできる
  • 話題性が生まれ、メディアに取り上げられやすい

④ コスト削減

  • 資材の共同購入、配送の共同化

⑤ 学びと刺激

  • 仲間から学び、モチベーションが上がる

地域連携・コラボの4パターン

パターン①:生産者同士の連携

内容

  • 同じ地域の農家、加工業者が協力
  • 共同出荷、共同ブランド、共同イベント

  • 「◯◯地区の野菜セット」を共同販売
  • 複数の農家で「朝市グループ」を結成
  • 規格外野菜を持ち寄り、共同で加工

メリット

  • 品揃えが豊富になる
  • 大口注文に対応できる
  • 情報交換、助け合いができる

パターン②:異業種とのコラボ

内容

  • 飲食店、カフェ、宿泊施設、小売店などと協力
  • 商品開発、メニュー提供、販売委託

  • 地元カフェで自社ジャムを使ったメニュー提供
  • 宿泊施設の朝食に自社商品を採用
  • パン屋とコラボして「◯◯ジャムパン」を開発

メリット

  • 新しい顧客層にリーチ
  • 商品の使い方が広がる
  • 互いの集客力を活かせる

パターン③:自治体・支援機関との連携

内容

  • 市町村、商工会、農業改良普及センター、観光協会などと協力
  • イベント参加、補助金活用、PR支援

  • 自治体主催のマルシェ、物産展に出店
  • 観光協会のパンフレットに掲載
  • ふるさと納税の返礼品に登録

メリット

  • 公的な信頼が得られる
  • 広報・PRの支援が受けられる
  • 補助金、助成金の情報が得やすい

パターン④:企業・団体とのコラボ

内容

  • 地元企業、NPO、大学などと協力
  • 商品開発、販路開拓、研究協力

  • 地元企業の社員食堂に商品を納品
  • 大学と共同で商品開発・成分分析
  • NPOと協力して、福祉施設での販売

メリット

  • 専門知識、ネットワークを活用できる
  • 新しい視点が得られる
  • 社会的意義が高まる

コラボの進め方5ステップ

ステップ1:目的を明確にする

問い

  • 何を実現したいのか?
  • なぜ一人では難しいのか?
  • 誰と組めば実現できるか?

  • 「大口注文に対応したい」→ 生産者同士で連携
  • 「認知を広げたい」→ カフェとコラボ
  • 「新商品を開発したい」→ 異業種とコラボ

ステップ2:パートナーを探す

探し方

  • 地域のマルシェ、イベントで声をかける
  • 商工会、農業改良普及センターに相談
  • SNSで発信し、興味を持った人とつながる
  • 知人の紹介

選び方のポイント

  • 価値観が合うか(品質へのこだわり、地域への想いなど)
  • 信頼できるか
  • 互いにメリットがあるか

ステップ3:提案する

提案の仕方

  • まずは対面で会う(電話、メールでアポイント)
  • 自己紹介、自社商品の説明
  • 「一緒にこんなことができたら」と具体的に提案

提案例

  • 「うちのジャムを使ったメニューを作りませんか?」
  • 「一緒にマルシェに出店しませんか?」
  • 「規格外野菜を使った商品を共同開発しませんか?」

ポイント

  • 相手のメリットを明確に伝える
  • 押し付けない、相手の意見を聞く

ステップ4:条件を決める

決めるべきこと

  • 役割分担(誰が何をするか)
  • 費用負担(材料費、出店料、広告費など)
  • 利益配分(売上をどう分けるか)
  • 期間(いつまで続けるか、見直しのタイミング)
  • 契約の有無(口約束か、書面か)

ポイント

  • 曖昧にしない、最初に明確にする
  • 小さく始めて、うまくいったら拡大

ステップ5:実行し、振り返る

実行

  • 決めた役割を守る
  • こまめに連絡を取り合う

振り返り

  • 定期的に(月1回、イベント後など)集まる
  • 良かった点、改善点を共有
  • 次のアクションを決める

ポイント

  • うまくいかなければ、柔軟に見直す
  • 感謝を伝え合う

成功のポイント

ポイント① Win-Winの関係を作る

大切なこと

  • 一方だけが得をする関係は続かない
  • 互いにメリットがあるか、常に確認

  • カフェ:新メニューで集客、ジャム販売で売上
  • 生産者:認知拡大、新しい販路

ポイント② 役割分担を明確にする

大切なこと

  • 「誰が何をするか」を最初に決める
  • 曖昧なまま進めると、トラブルの元

  • A農家:野菜の生産・納品
  • B加工業者:加工・パッケージ
  • C販売者:販売・集金

ポイント③ コミュニケーションを密にする

大切なこと

  • こまめに連絡を取り合う
  • 困ったことがあれば、すぐに相談

方法

  • LINEグループを作る
  • 月1回、対面で打ち合わせ
  • イベント後は必ず振り返り

ポイント④ 小さく始める

大切なこと

  • 最初から大きく投資しない
  • テストして、うまくいったら拡大

  • まずは1回のイベント共同出店から
  • 1商品だけコラボ開発
  • 1ヶ月限定でメニュー提供

ポイント⑤ 感謝と尊重

大切なこと

  • 「ありがとう」を忘れない
  • 相手の事情、やり方を尊重する

  • 「助かりました」「おかげで成功しました」
  • 意見が違っても、否定しない

よくある失敗と対策

失敗①:役割分担が曖昧で、トラブルに

原因

  • 「誰が何をするか」を決めていなかった
  • 「言わなくても分かる」と思い込んだ

対策

  • 最初に役割分担を明確にする
  • 書面に残す(簡単なメモでもOK)

失敗②:利益配分で揉める

原因

  • 売上の分け方を決めていなかった
  • 費用負担が不公平だった

対策

  • 事前に利益配分、費用負担を決める
  • 定期的に見直す

失敗③:一方だけが負担を感じる

原因

  • Win-Winの関係になっていなかった
  • コミュニケーション不足

対策

  • 定期的に「困っていることはないか」を確認
  • 不満があれば、早めに話し合う

失敗④:最初から大きく始めて、失敗

原因

  • いきなり大量生産、大型イベント
  • 相性を確認せずに進めた

対策

  • 小さく始める(1回のイベント、1商品など)
  • うまくいったら拡大

今日から始める5ステップ

  1. 実現したいことを書き出す(単独では難しいこと)
  2. 協力してくれそうな人・組織をリストアップ
  3. 1人に声をかけてみる(まずは雑談から)
  4. 小さなコラボを提案する(1回のイベント、1商品など)
  5. 実行し、振り返る

さいごに

地域連携とコラボレーションは、「一人では難しいことを、仲間と実現する」ための最強の手段です。生産力、販路、認知、すべてが広がります。

大切なのは、Win-Winの関係を作り、小さく始めること。最初から完璧を目指さず、1回のイベント、1つの商品から。その積み重ねが、地域全体を盛り上げ、あなたの事業を成長させます。

一人で頑張らなくていい。仲間と一緒に、もっと大きな夢を。
地域の力を信じて、最初の一歩を踏み出しましょう。

 

パッケージデザイン:売れる見た目と法令遵守の両立

はじめに

6次化で商品を作ったら、次に大切なのがパッケージです。どんなに美味しい商品でも、パッケージが魅力的でなければ手に取ってもらえません。一方で、食品表示には法令で定められたルールがあり、守らなければ販売できません。

本コラムでは、「売れる見た目」と「法令遵守」を両立させるための実務ポイントをお伝えします。

※食品表示の詳細なルールは複雑で、商品や販売形態により異なります。必ず管轄の保健所や専門機関にご相談ください。

パッケージが果たす3つの役割

① 商品を保護する

  • 中身を守る(破損、汚れ、乾燥、湿気)
  • 賞味期限内の品質を保つ

② 情報を伝える

  • 商品名、原材料、賞味期限、製造者情報
  • 法令で定められた表示は必須

③ 購買意欲を高める

  • 棚で目立つ
  • 商品の価値を伝える
  • 「買いたい」と思わせる

売れるパッケージデザインの5原則

原則① 遠くからでも目立つ

実践方法

  • 色のコントラストを明確に(背景と文字)
  • 商品名は大きく、遠くからでも読める
  • 情報を詰め込みすぎない

:ジャムなら、果物の写真+大きく「いちごジャム」

原則② 商品の価値を一目で伝える

伝えるべき価値

  • 「地元産」「無添加」「手作り」「季節限定」
  • 「米粉100%」「規格外野菜活用」

  • 「朝採れいちごの手作りジャム」
  • 「米粉100% ふわふわシフォン」

原則③ ターゲットに合ったデザイン

ターゲット デザインの方向性 色・フォントの例
若い女性 おしゃれ、かわいい パステルカラー、手書き風
主婦層 安心、信頼、実用的 ナチュラルカラー、読みやすい
ギフト用途 高級感、特別感 落ち着いた色、上質な素材

原則④ ブランドの統一感を作る

統一する要素

  • ロゴ:同じロゴを全商品に
  • 色:ブランドカラーを決める
  • フォント:同じ書体を使う

原則⑤ 開けやすさ・使いやすさ

  • 開封口が分かりやすい
  • 再封可能(ジッパー付き袋、蓋付き容器)
  • 持ちやすいサイズ、重さ

低コストで始めるパッケージ作成

【初級】既製品の袋・容器+シールラベル

方法

  • 透明袋、クラフト袋、瓶などの既製品を購入
  • 自分でデザインしたラベルシールを貼る

おすすめツール

  • ラベルシール:A4サイズのシール用紙
  • デザイン:Canva(無料)、PowerPoint、Word

コスト例:1個あたり20〜30円程度

【中級】印刷会社に発注

発注先の例

  • ネット印刷(ラクスル、プリントパックなど)
  • 地元の印刷会社

コスト例:1個あたり30〜100円程度

【上級】デザイナーに依頼

依頼先の例

  • フリーランスデザイナー(ココナラ、クラウドワークスなど)

コスト例:ロゴ+パッケージデザインで10〜30万円

食品表示の基本

※以下は一般的な考え方です。必ず保健所や専門機関にご相談ください。

表示が必要な主な項目

  1. 名称:商品の一般的な名前
  2. 原材料名:使用した原材料を多い順に記載
  3. 内容量:グラム(g)、ミリリットル(ml)など
  4. 賞味期限または消費期限
  5. 保存方法
  6. 製造者または販売者:氏名、住所
  7. アレルゲン:卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そば、くるみ
  8. 栄養成分表示:一部の小規模事業者は省略可能な場合あり

表示のルール

  • 文字の大きさ:原則8ポイント以上
  • 表示場所:容器または包装の見やすい場所
  • 言語:日本語で表示

対策:保健所に事前相談、食品表示の手引き(消費者庁)を確認

デザインと表示を両立させるレイアウト

パターン① 表面=デザイン、裏面=表示

  • 表面:商品名、写真、キャッチコピー
  • 裏面:原材料、賞味期限、製造者情報など

向いている商品:袋入り商品、箱入り商品

パターン② 一括表示欄を目立たせない工夫

  • 表示欄を小さめの枠で囲む
  • 背景色を薄くして、デザインを邪魔しない

向いている商品:瓶詰め、小袋商品

パッケージ作成の実務ステップ

  1. 商品の特性を整理する(ターゲット、販路、強み)
  2. 参考デザインを集める
  3. デザインの方向性を決める(色、フォント、キャッチコピー)
  4. 表示内容を保健所に相談
  5. 試作・印刷
  6. テスト販売で反応を見る

パッケージ改善のチェックリスト

  •  3メートル離れても商品名が読めるか
  •  商品の価値が一目で伝わるか
  •  ターゲット層に合ったデザインか
  •  開けやすいか
  •  法定表示項目がすべて記載されているか
  •  アレルゲンは正確に表示されているか

今日から始める5ステップ

  1. ターゲットと商品の強みを書き出す
  2. 参考デザインを3つ集める
  3. 保健所に表示内容を相談
  4. ラフデザインを手書きで描く
  5. 既製品+ラベルシールで試作

さいごに

パッケージは、商品の顔です。どんなに美味しい商品でも、パッケージが魅力的でなければ、手に取ってもらえません。一方で、法令を守らなければ、信頼を失い、販売もできません。

大切なのは、「売れる見た目」と「法令遵守」を両立させること。最初から完璧を目指す必要はありません。低コストで小さく始め、お客様の反応を見ながら改善していく。

まずは既製品の袋+手作りラベルから。そして保健所に相談しながら、正しい表示を。見た目と信頼、両方を大切に。

※食品表示の詳細は、必ず管轄の保健所または専門機関にご相談ください。

 

SNSとWebを使った情報発信:投稿ネタの作り方と、ファンを増やす継続のコツ

はじめに

6次化で商品を作ったら、次は「知ってもらう」ことが必要です。広告費をかけずに認知を広げる最も有効な手段が、SNSとWebでの情報発信です。

しかし、多くの事業者が「何を投稿すればいいか分からない」「続かない」という壁にぶつかります。大切なのは、完璧な投稿を目指すことではなく、小さく続けること。そして、商品の宣伝だけでなく、日常や想いを伝えることで、ファンが育っていきます。

本コラムでは、投稿ネタの作り方、継続するための仕組み、そしてファンを増やす実践的なコツを、現場目線でお伝えします。

なぜSNS・Web発信が必要なのか

SNS・Web発信がもたらす4つの価値

① 認知の拡大

  • 地域を超えて、全国の人に届く
  • 検索やシェアで、思わぬ人に見つけてもらえる

② 信頼の構築

  • 顔が見える、想いが伝わる
  • 「この人から買いたい」という気持ちが生まれる

③ リピーターとのつながり

  • 新商品、イベント情報を直接届けられる
  • コメントやメッセージで対話ができる

④ 販売機会の創出

  • 投稿を見て「買いたい」と思ってもらえる
  • ECサイトやマルシェへの導線になる

ポイント:SNSは「売る場」ではなく、「関係を作る場」

主要SNS・Webツールの特徴と使い分け

【Instagram(インスタグラム)】

特徴

  • 写真・動画がメイン
  • 20〜40代の女性ユーザーが多い
  • ハッシュタグで新規ユーザーにリーチ

向いている商品・事業者

  • 見た目が魅力的な商品(スイーツ、加工品、農産物)
  • 世界観・ストーリーを伝えたい
  • ギフト・贈答用途の商品

投稿内容の例

  • 商品の写真(断面、盛り付け、パッケージ)
  • 製造過程、畑の様子
  • お客様の声、使い方の提案
  • イベント出店情報

【Facebook(フェイスブック)】

特徴

  • 文章もしっかり読まれる
  • 30〜60代のユーザーが中心
  • 地域コミュニティ、グループ機能が強い

向いている商品・事業者

  • 地域密着型の事業
  • ストーリーや背景をしっかり伝えたい
  • イベント告知、参加募集

投稿内容の例

  • 商品開発の背景、想い
  • 生産者の日常、季節の話題
  • イベントレポート、お客様との交流
  • 地域の情報、コラボ企画

【LINE公式アカウント】

特徴

  • 登録者に直接メッセージを届けられる
  • 開封率が高い(メールより読まれやすい)
  • クーポン、予約機能が使える

向いている商品・事業者

  • リピーター育成を重視
  • 限定情報、特典を提供したい
  • 予約販売、イベント告知

配信内容の例

  • 新商品のお知らせ
  • 限定販売、先行予約
  • クーポン、特典情報
  • レシピ、食べ方の提案

【自社ホームページ・ブログ】

特徴

  • 情報を体系的にまとめられる
  • 検索エンジン(Google)からの流入が期待できる
  • 自分の「資産」として蓄積される

向いている商品・事業者

  • 商品ラインナップが多い
  • ストーリー、こだわりをしっかり伝えたい
  • ECサイトと連携したい

掲載内容の例

  • 商品一覧、価格、購入方法
  • 生産者プロフィール、想い
  • よくある質問、お客様の声
  • ブログ(日々の活動、レシピなど)

投稿ネタの作り方

「何を投稿すればいいか分からない」を解決する、7つのネタカテゴリをご紹介します。

① 商品紹介

内容

  • 商品の写真、特徴、価格
  • 原材料、製法のこだわり
  • サイズ、賞味期限、保存方法

投稿例

  • 「米粉100%のシフォンケーキ。ふわふわ軽い食感が自慢です」
  • 「地元◯◯農家のいちごを使ったジャム。砂糖だけで煮詰めました」

ポイント

  • 商品の「良さ」を一言で伝える
  • 写真は明るく、美味しそうに

② 製造過程・舞台裏

内容

  • 仕込み、加工、包装の様子
  • 道具、設備の紹介
  • 失敗談、試行錯誤

投稿例

  • 「今朝は5時から仕込み。生地を寝かせている間にパッケージ準備」
  • 「試作3回目でやっと納得の味に。甘さ控えめがポイントです」

ポイント

  • 「作っている人の顔」が見えると、信頼が生まれる
  • 完璧でなくてOK。リアルな様子が共感を呼ぶ

③ 畑・原材料の様子

内容

  • 収穫の様子、季節の移り変わり
  • 生産者との交流
  • 天候、作柄の話題

投稿例

  • 「今年のトマトは甘みが強い!太陽をたっぷり浴びました」
  • 「◯◯さんの畑で規格外きゅうりを分けてもらいました。これがピクルスに」

ポイント

  • 「どこで、誰が作ったか」が見えると、安心感が生まれる
  • 季節感が伝わる投稿は、シェアされやすい

④ お客様の声・使い方提案

内容

  • お客様からの感想、レビュー
  • 食べ方、使い方のアイデア
  • ギフト、手土産の提案

投稿例

  • 「『子どもがパクパク食べました』と嬉しいメッセージ!」
  • 「ピクルスはサンドイッチに挟むと最高。お試しください」

ポイント

  • お客様の声は、第三者の信頼になる(許可を得て掲載)
  • 「こう使うと良い」という提案は、購入のきっかけになる

⑤ イベント・販売情報

内容

  • マルシェ、イベント出店のお知らせ
  • 新商品発売、限定販売
  • 営業日、休業日の案内

投稿例

  • 「今週末、◯◯マルシェに出店します!試食もご用意」
  • 「季節限定のゆずジャム、今年は50個だけ。なくなり次第終了です」

ポイント

  • 日時、場所、価格を明確に
  • 「限定」「今だけ」は行動を促す

⑥ 日常・想い・ストーリー

内容

  • なぜこの仕事を始めたか
  • 大切にしていること
  • 日々の気づき、感謝

投稿例

  • 「規格外野菜を捨てるのがもったいなくて、加工を始めました」
  • 「お客様の『美味しかった』の一言が、何よりの励みです」

ポイント

  • 「人」に共感してもらうことで、ファンが育つ
  • 売り込みではなく、想いを伝える

⑦ 地域・季節の話題

内容

  • 地域のイベント、風景
  • 季節の行事、旬の食材
  • コラボ企画、地域の仲間紹介

投稿例

  • 「桜が満開。春の訪れを感じながら、いちごジャムを仕込んでいます」
  • 「近所の◯◯さんと一緒に、マルシェに出店します」

ポイント

  • 地域の魅力を発信することで、地域全体のファンが増える
  • コラボは互いのフォロワーにリーチできる

継続するための仕組みづくり

① 投稿カレンダーを作る

やり方

  • 月初に、1ヶ月分の投稿予定を立てる
  • 曜日ごとにテーマを決める

  • 月曜:商品紹介
  • 水曜:製造過程
  • 金曜:イベント情報、お客様の声

効果

  • 「何を投稿するか」で悩まなくなる
  • 計画的に情報を出せる

② ネタをストックする

やり方

  • 日常の中で「これ投稿できそう」と思ったら、写真を撮る
  • スマホのフォルダに「SNS用」を作り、まとめておく

ストックしておくと便利な写真

  • 商品の写真(複数アングル)
  • 製造過程
  • 畑、原材料
  • イベントの様子
  • お客様との交流(許可を得て)

効果

  • 忙しい日でも、ストックから選んで投稿できる

③ 投稿時間を決める

おすすめの時間帯

  • 朝7〜8時(通勤時間)
  • 昼12〜13時(休憩時間)
  • 夜20〜21時(リラックスタイム)

やり方

  • 「毎週水曜の朝8時」など、ルーティン化する
  • 予約投稿機能を使う(Instagram、Facebookは可能)

効果

  • 習慣になり、続けやすい
  • フォロワーも「この時間に投稿がある」と認識

④ 完璧を目指さない

よくある失敗

  • 「良い写真が撮れるまで投稿しない」
  • 「文章を何度も書き直して、結局投稿しない」

対策

  • 60点でOK。投稿しないより、投稿する方が100倍良い
  • スマホで撮った写真で十分
  • 短い文章でOK(1〜3行でも伝わる)

ポイント

  • 継続が最も大切。完璧主義は続かない

⑤ 反応を楽しむ

やり方

  • 「いいね」「コメント」がついたら、必ず返信
  • 「シェアしてくれた」「タグ付けしてくれた」ら、お礼を伝える

効果

  • コミュニケーションが生まれ、ファンが育つ
  • 「反応がある」とモチベーションが続く

今日から始める5ステップ

ステップ1:使うSNSを1つ決める

  • 最初は1つに絞る(Instagram、Facebook、LINEのいずれか)

ステップ2:プロフィールを整える

  • 何をしている人か、どこで買えるか、を明記
  • プロフィール写真は、顔または商品

ステップ3:投稿カレンダーを作る

  • 週1回から始める
  • 曜日とテーマを決める

ステップ4:写真を10枚ストックする

  • 商品、製造過程、畑など、今あるものでOK

ステップ5:1投稿目を投稿する

  • 「はじめまして」の自己紹介でOK
  • 完璧を目指さず、まず投稿

さいごに

SNS・Web発信は、「続けること」が最大の成果です。最初は反応が少なくても、3ヶ月、半年と続けることで、少しずつファンが増えていきます。

大切なのは、完璧な投稿ではなく、あなたの日常、想い、商品への愛情を、素直に伝えること。その積み重ねが、「この人から買いたい」という気持ちを育てます。

まずは週1回、1枚の写真と3行の文章から。小さく始めて、楽しみながら続ける。それが、ファンを増やす一番の近道です。

発信は、未来のお客様との出会いの種まき。
今日蒔いた種が、半年後、1年後に花開きます。

 

顧客データの集め方と活かし方:小さな直売所でも始められるリピーター育成術

はじめに

6次化で最も大切なのは、「一度買ってくれたお客様に、もう一度買ってもらうこと」です。新規顧客の獲得には時間もコストもかかりますが、リピーターは少ない労力で安定した売上を生み出してくれます。

そのために必要なのが顧客データです。「誰が」「何を」「いつ」買ったかを記録し、適切なタイミングで再アプローチする。難しいシステムは不要です。紙のノート、スプレッドシート、LINE公式アカウントなど、身近なツールで今日から始められます。

本コラムでは、小さな直売所やマルシェでも実践できる、顧客データの集め方と活かし方を具体的にお伝えします。

なぜ顧客データが必要なのか

リピーターがもたらす3つの価値

① 安定した売上

  • 新規顧客:来るかどうか分からない
  • リピーター:定期的に買ってくれる

② 口コミ・紹介

  • 満足したリピーターは、友人・家族に勧めてくれる
  • SNSでシェアしてくれる可能性も高い

③ 商品改善のヒント

  • 何度も買ってくれる人の声は、商品開発の宝庫
  • 「こんな商品があったら」という要望が次のヒットにつながる

データがないと起こること

  • 誰がリピーターか分からない
  • 新商品の案内ができない
  • 季節商品の販売時期を逃す
  • 常連さんに特別感を提供できない

顧客データは、リピーター育成の土台です。

集めるべき顧客データの基本

最初から完璧を目指す必要はありません。まずは最低限の情報から始めましょう。

【必須】最低限集めたい情報

  1. 名前(ニックネームでもOK)
  2. 連絡先(メール、LINE、電話のいずれか)
  3. 購入日
  4. 購入商品

【推奨】余裕があれば集めたい情報

  1. 購入のきっかけ(SNS、紹介、通りがかりなど)
  2. 好みや要望(甘さ控えめが好き、ギフト用途など)
  3. 誕生月(バースデー特典を送れる)
  4. 住所(地域別の傾向分析、DM送付)

集めてはいけない情報

  • 必要以上の個人情報(年収、家族構成など)
  • 本人の同意なく第三者に提供する前提の情報

ポイント:「何のために使うか」を明確にし、お客様に説明できる範囲で集める

販路別顧客データの集め方

【直売所・道の駅】

課題:委託販売のため、購入者と直接接点がない

解決策①:QRコードでLINE登録を促す

  • 商品パッケージやPOPにQRコードを貼る
  • 「新商品情報やお得情報をLINEでお届け」と案内
  • 登録特典(次回10%オフクーポンなど)をつける

解決策②:アンケートカードを同梱

  • 「ご感想をお聞かせください」と小さなカードを入れる
  • QRコードまたはメールアドレスで回答を受け付ける
  • 回答者に次回使えるクーポンをプレゼント

解決策③:レジ横にチラシ・名刺を置く

  • SNSアカウント、LINE、ホームページのURLを記載
  • 「フォローで限定情報をお届け」と訴求

【マルシェ・イベント出店】

メリット:対面なので、直接声をかけられる

方法①:購入時に声かけ

  • 「次回の出店情報をLINEでお送りしてもいいですか?」
  • その場でQRコードを読み取ってもらう

方法②:名刺交換

  • 購入者に名刺を渡し、「よかったら連絡先を教えてください」
  • 簡単なメモ用紙に名前・連絡先を書いてもらう

方法③:スタンプカード

  • 「3回購入で1個プレゼント」などの特典
  • カードに名前・連絡先欄を設け、初回に記入してもらう

方法④:試食・プレゼント企画

  • 「アンケートに答えてくれた方に試食プレゼント」
  • 簡単な質問(好みの味、購入頻度など)と連絡先を記入してもらう

【EC(ネット販売)】

メリット:購入時に自動的にデータが蓄積される

活用できるデータ

  • 氏名、住所、メールアドレス
  • 購入日、購入商品、購入金額
  • リピート回数、購入間隔

追加で集める方法

  • 購入後のサンクスメールで簡単なアンケートを依頼
  • レビュー投稿を促す(特典付き)
  • LINE登録を案内(「次回使える500円クーポン」など)

【卸(小売店・飲食店経由)】

課題:エンドユーザーと直接接点がない

解決策①:店頭POPにQRコード

  • 卸先の店舗に「生産者の情報はこちら」とQRコード付きPOPを設置してもらう

解決策②:パッケージにSNS情報

  • Instagram、Facebook、LINEのアカウント名を記載
  • 「作り手の日常を発信中」と興味を引く

解決策③:卸先との情報共有

  • 「お客様の声があれば教えてください」と依頼
  • 売れ筋商品、要望、クレームなどを定期的にヒアリング

顧客データの管理方法

【初級】紙のノート・カード

メリット

  • すぐ始められる
  • デジタルが苦手でもOK

デメリット

  • 検索しにくい
  • 紛失リスク

使い方

  • 1人1ページで記録
  • 購入日、商品、メモを時系列で追記

【中級】スプレッドシート(Excel・Googleスプレッドシート)

メリット

  • 無料で使える
  • 並び替え・検索が簡単
  • 複数人で共有できる(Googleスプレッドシート)

デメリット

  • 入力の手間がかかる
  • 自動化には限界がある

基本の項目例

顧客ID 名前 連絡先 初回購入日 最終購入日 購入回数 購入商品 メモ
001 佐藤さん sato@example.com 2025/10/5 2026/1/12 3回 ジャム、シフォン 甘さ控えめ好き
002 鈴木さん LINE: suzuki123 2025/11/20 2025/11/20 1回 ピクルス ギフト用途

運用のコツ

  • 販売後、その日のうちに入力
  • 月1回、データを見直して傾向を確認

【上級①】LINE公式アカウント

メリット

  • 顧客が使い慣れている
  • メッセージ配信が簡単
  • クーポン、予約機能も使える

デメリット

  • 月200通まで無料、それ以上は有料(2026年1月時点)
  • 登録してもらう工夫が必要

活用方法

  1. 友だち登録を促す
    • QRコード、チラシ、SNSで案内
    • 登録特典(クーポン、限定情報)をつける
  2. セグメント配信
    • 「ジャム購入者」「マルシェで会った人」など、タグで分類
    • 関心に合わせた情報を送る
  3. リッチメニュー活用
    • 商品一覧、予約、お問い合わせをボタン化
  4. アンケート機能
    • 新商品の意見募集、満足度調査

【上級②】CRM・顧客管理ツール

:kintone、Salesforce、HubSpot、Zoho CRM

メリット

  • 高度な分析・自動化が可能
  • 購入履歴、メール配信、タスク管理を一元化

デメリット

  • 月額費用がかかる(数千円〜数万円)
  • 設定・運用に学習コストがかかる

向いている事業者

  • 顧客数が数百人以上
  • 複数スタッフで管理
  • EC・卸・直売など複数販路を統合管理したい

顧客データの活かし方

データを集めただけでは意味がありません。リピート購入につながる行動を起こしましょう。

① 定期的な情報発信

頻度の目安

  • 月1〜2回(多すぎると嫌がられる)
  • 季節の変わり目、新商品発売時

配信内容の例

  • 新商品のお知らせ
  • 季節限定商品の販売開始
  • マルシェ・イベント出店情報
  • レシピ・食べ方の提案
  • 生産者の日常、畑の様子

ポイント

  • 売り込みばかりにしない
  • 「役立つ情報」「楽しい情報」を8割、「販促」を2割

② リピーター限定の特典

  • 2回目購入で10%オフ
  • 誕生月にバースデークーポン
  • 常連さん限定の先行販売
  • 「いつもありがとうございます」の手書きメッセージ

効果

  • 特別感が生まれ、ファン化が進む
  • 「また買おう」という動機づけになる

③ 購入サイクルに合わせたアプローチ

  • ジャムを買った人に、1ヶ月後「そろそろなくなる頃では?」とメッセージ
  • 季節商品を買った人に、翌年の同時期に「今年も販売開始しました」

やり方

  • スプレッドシートで「最終購入日」を管理
  • 30日後、60日後など、タイミングを見て連絡

④ アンケート・ヒアリング

質問例

  • どの商品が一番好きですか?
  • こんな商品があったら買いたいですか?
  • 改善してほしい点はありますか?
  • どこで知りましたか?

活用方法

  • 新商品開発のヒントにする
  • 人気商品を増産、不人気商品を見直し
  • お客様の声をSNSやPOPで紹介(許可を得て)

⑤ セグメント別のアプローチ

セグメント例

  • 初回購入者:「ありがとうございました。次回使えるクーポンです」
  • リピーター:「いつもありがとうございます。新商品をご案内」
  • 休眠顧客(3ヶ月以上購入なし):「お久しぶりです。季節限定商品が出ました」

効果

  • 一斉配信より、反応率が高い
  • 顧客に「自分に合った情報」と感じてもらえる

よくある失敗と対策

失敗①:データを集めたまま放置

対策

  • 月1回、必ず何かしらの配信をする
  • カレンダーに「顧客対応日」を設定

失敗②:売り込みばかりで嫌がられる

対策

  • 「役立つ情報8割、販促2割」を意識
  • レシピ、生産者の日常、季節の話題など、楽しめる内容を混ぜる

失敗③:個人情報の管理が甘い

対策

  • スプレッドシートにパスワードをかける
  • 紙の記録は鍵付き引き出しに保管
  • 第三者に見せない、勝手に使わない

失敗④:データ入力が続かない

対策

  • 販売後すぐに入力する習慣をつける
  • 入力項目を最小限にする(名前、連絡先、購入日、商品だけでもOK)

今日から始める5ステップ

ステップ1:目標を決める

  • 「3ヶ月で顧客データ30件」など、具体的な数字を設定

ステップ2:ツールを選ぶ

  • 初心者:紙のノートまたはスプレッドシート
  • 慣れてきたら:LINE公式アカウント

ステップ3:集め方を決める

  • QRコード、アンケートカード、声かけなど、自分に合った方法

ステップ4:特典を用意

  • 登録・記入してもらうための「お礼」を考える(クーポン、試食など)

ステップ5:月1回、必ず連絡する

  • 新商品、出店情報、レシピなど、何でもOK
  • 「忘れられない」ことが大切

さいごに

リピーター育成は、「関係を続ける」ことです。一度買ってくれたお客様に、忘れられないように、定期的に顔を出す。新商品を案内する。感謝を伝える。

難しいシステムは不要です。紙のノート、スプレッドシート、LINEで十分。大切なのは、小さく始めて、続けること

まずは、10人の連絡先を集めることから。その10人が、あなたの事業を支える最初のファンになります。

新規顧客を追いかけるより、目の前のお客様を大切に。
その積み重ねが、持続可能な売上を生み出します。

 

後編:布田ファームの挑戦 ~農福連携×販路×発信で「続ける・育てる」

はじめに

「株式会社布田ファーム(Irodori.Kitchen)」は宮城県岩沼市にあるお米ときゅうりをメインに生産している農家です。自身で育てたお米や季節野菜を使い、米粉スイーツや総菜を製造・販売しています。また、障害者就労支援B型事業所の施設外就労を受け入れています。今回も、主にきゅうりの生産などを手掛ける布田幸子さんと2児の母で農家に嫁いできたこときっかけに加工業を始めた布田彩さんにお話しを伺いました。

後半では農福連携や販促について、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします。

農福連携(障害者就労支援B型)で季節のボトルネックを解消

Q.連携のきっかけと、軌道に乗るまでの流れは?

(幸子さんは)介護・障害者施設の生活支援員として働いた経験があり、皆さんの仕事ぶりを知っていました。きゅうりを始めた当初から来てもらいましたが、重量・長さなどの規格ごとの仕分けは難度が高く、最初はうまく連携できない場面もありました。そこで市役所紹介の「農福連携セミナー」に参加し、「きゅうりに時間を取られて他の畑仕事ができない」という課題を共有。間に入ってくれたNPO法人の方から障害者就労支援B型事業所を紹介いただき、工賃などを取り決めて正式に連携を開始しました。

Q.現在、どのような作業を担ってもらっている?

草取りや大根の収穫・洗浄・袋詰め、種まき、白菜の管理など畑全般をB型の皆さんが担当。私たちはきゅうりに専念できる体制です。ピーク期(6月中旬〜)に手薄になる夏野菜(オクラなど)の種まきから定植までを任せられるようになり、夏場の収入確保につながっています。

販路と発信―SNSとマルシェで「見つけてもらう」

Q.SNSを始めた狙いと工夫は?

取り組みを知ってもらう手段が少なかったため、写真中心のInstagramが集客に最もつながると考え、ビジネスアカウントを開設しました。なかなか投稿できない時もありますが、イベント情報や販売スケジュールを見やすく投稿するよう心掛けています。先輩農家さんや6次化に取り組んでいる皆さんのデザイン・見せ方も参考にしながら無理なく続けています。

Instagramはこちらから!

株式会社布田ファーム @fuda_farm

Irodori.kitchen(加工部門) @iro.k_iwanuma

Q.マルシェ出店時のお客様の反応は?

「米粉100%」「県内産中心の原材料」を求める方が多く、グルテンフリー志向のお客様にも喜ばれます。試食後のリピート購入や「小さな子にも食べやすい(はちみつ不使用)」という声が励みです。他のマルシェ参加者さんの包装の仕方や商品などを見て気づくことも多く、情報収集と学びの場としても有効だと感じています。

支援事業で得たことと、6次化への実践ポイント

Q.印象に残った支援は?

事業計画・メニュー開発・機器選定・衛生指導まで、立ち上げに必要な要素を一気通貫で伴走いただけたこと。自分たちだけでは分からないまま続けてしまう部分をプロの視点で補ってもらえました。規格外きゅうりの価値化(ピクルス)も、その延長線上の成果です。

Q.6次化に挑む生産者へメッセージをお願いします。

「やりたいことを言語化して発信する」ことが第一歩です。補助事業の活用や人脈の広がりはそこから生まれます。外部の力を借りれば実現できることは増えますし、情報収集もしやすい時代です。面白そう・食べてみたいと感じたらアンテナを張って動くことが大切です。情報発信と学びの両輪で、少しずつでも前進するのが大切だと思います。


布田ファームの歩みは、身近な資源を丁寧に磨き、外部の力も取り込みながら「できること」を積み重ねていく実践例です。これから6次化に踏み出す方のご参考になりましたら幸いです。

[インタビュー企業紹介]

株式会社布田ファーム Instagram @fuda_farm

Irodori.kitchen(加工部門) Instagram @iro.k_iwanuma

前編:布田ファームの挑戦 ~地域資源×加工×支援で「はじめの一歩」を形に

はじめに

「株式会社布田ファーム(Irodori.Kitchen)」は宮城県岩沼市にあるお米ときゅうりをメインに生産している農家です。自身で育てたお米や季節野菜を使い、米粉スイーツや総菜を製造・販売しています。また、障害者就労支援B型事業所の施設外就労を受け入れています。今回は、主にきゅうりの生産などを手掛ける布田幸子さんと2児の母で農家に嫁いできたこときっかけに加工業を始めた布田彩さんにお話しを伺いました。

支援事業参加の背景と、加工のきっかけ

Q.支援事業へ参加したきっかけは何ですか?

加工場の設整備と機材導入の補助金に応募した際、加工を本格化するには食品衛生の指導が不可欠だと考え、衛生面の支援も合わせて申請しました。

Q.実際に参加してみてどうでしたか?

経営の事業計画づくりから着手しました。メニュー開発は料理研究家の佐藤千佳さんにご指導いただき、機材面はホシザキさんの協力で、規格外きゅうりのピクルスが製品化しました。味のベースは先生のレシピを起点に派生していっています。プロの知見と機械の使い方まで伴走いただけたのが大きかったです。

Q.加工を始めた経緯は?

原点は幸子さんが作っていたシフォンケーキがきっかけです。「Komeco.Factory」という屋号でした。米価が安い時期に「付加価値をつけたい」と考え、直売所(ハナトピア岩沼)で小さく販売していました。彩さんが結婚を機に家に入り、妊娠中にきゅうり栽培を手伝いながら米粉菓子の製造も開始しました。お客様の定着と需要増に伴い、プレハブの小さな加工場では限界が見え、市役所に相談。支援制度の紹介を受け、現在のIrodori.Kitchenへ発展しました。

地域食材へのこだわりと、行政との橋渡し

Q.事業を進めるうえで大事にしていることは?

「なるべく地域の食材を使う」ことです。自分たちの米・きゅうりを軸に、ハナトピア岩沼時代から付き合いのある生産者さんの農産物を仕入れます。りんご・姫りんご・ゆず・しいたけ・いちじくなど旬の食材を取り入れ、季節ごとの美味しさを商品に生かしています。


後編では農福連携や販促について、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします!

[インタビュー企業紹介]

株式会社布田ファーム Instagram @fuda_farm

Irodori.Kitchen(加工部門) Instagram @iro.k_iwanuma

販路開拓の基本戦略:直売所・EC・卸・マルシェ…それぞれの特性と収益構造を理解する

はじめに

6次産業化で商品を作ったら、次は「どこで売るか」が最大の課題です。直売所、EC、卸、マルシェ…それぞれに手数料も客層も求められる商品特性も違います。「とりあえず全部やってみる」では、労力ばかりかかって利益が残りません。

大切なのは、各販路の収益構造を理解し、自社の商品・体制に合った販路ミックスを設計することです。本コラムでは、主要4販路の特性を整理し、どう組み合わせれば持続可能な売上が作れるかを、現場目線でお伝えします。

販路選択の基本的な考え方

販路を選ぶ前に、まず自社の状況を整理しましょう。

① 自社の現状を把握する

  • 生産能力:週・月にどれだけ作れるか
  • 在庫の持ち方:受注生産か、作り置きか
  • 賞味期限:短い(数日)か、長い(数週間〜数ヶ月)か
  • 価格帯:単価が高いか、低いか
  • 人員体制:自分一人か、家族・スタッフがいるか
  • 物流対応:発送作業ができるか、配送コストをどう吸収するか

② 販路ごとの「相性」を見極める

すべての販路が自社に合うわけではありません。商品特性・体制・目標利益に応じて、優先順位をつけることが成功の鍵です。

主要4販路の特性と収益構造

【販路①】直売所・道の駅

特徴

  • 地元客・観光客が中心
  • 対面販売ではなく、委託販売が主流
  • 商品を並べたら、あとは売場に任せる

収益構造

  • 手数料:売上の10〜20%(施設により異なる)
  • 価格設定:自分で決められる
  • 入金サイクル:月1〜2回の精算が一般的

求められる商品

  • 地域性・季節感がある
  • パッケージが目を引く(対面説明がないため)
  • 賞味期限が比較的長い(数日〜1週間以上)
  • 価格帯:500〜1,500円程度が中心

メリット

  • 初期投資が少ない(棚代・出店料が不要または低額)
  • 自分で接客しなくてよい
  • 地元での認知が広がる

デメリット

  • 売れ残りリスクは自己負担
  • 陳列スペースが限られる
  • 他の出品者との競合が激しい

向いている事業者

  • 生産量が安定している
  • パッケージや見せ方に工夫ができる
  • 定期的に商品を補充できる体制がある

【販路②】EC(ネット販売)

特徴

  • 全国の顧客にリーチできる
  • 24時間365日、販売機会がある
  • 自社サイト、楽天・Yahoo!などのモール、BASE・STORESなどの簡易ECがある

収益構造

  • 手数料
    • モール型(楽天・Yahoo!):売上の5〜15%+月額固定費
    • 簡易EC(BASE・STORES):売上の3〜5%程度
    • 自社サイト:決済手数料のみ(3〜4%)
  • 送料:顧客負担か、自己負担か(または一部負担)
  • 梱包資材費:1件あたり50〜200円程度

求められる商品

  • 写真・説明文で魅力が伝わる
  • 配送に耐える(割れ・潰れにくい)
  • 賞味期限が長い、または冷凍・冷蔵配送に対応
  • 価格帯:送料を考慮すると2,000円以上が望ましい

メリット

  • 地理的制約がない
  • リピーター育成がしやすい(メール・LINE配信)
  • 顧客データが蓄積できる

デメリット

  • 集客に時間とコストがかかる(SNS・広告が必要)
  • 梱包・発送作業が発生
  • 送料負担が大きい(特に単品・小ロット)

向いている事業者

  • 商品ストーリーや世界観を伝えたい
  • リピーター育成に力を入れたい
  • 発送作業を定期的にこなせる体制がある

【販路③】卸(小売店・飲食店への販売)

特徴

  • まとまった数量を定期的に納品
  • 小売店・カフェ・レストランなどが取引先
  • 自分で売る手間がかからない

収益構造

  • 卸値:小売価格の50〜70%が一般的
    • 例:小売価格1,000円 → 卸値600〜700円
  • 支払いサイト:月末締め翌月末払いなど、入金まで時間がかかる
  • 返品リスク:契約により異なる

求められる商品

  • 安定供給ができる(欠品が許されない)
  • 賞味期限が長い
  • ロット対応ができる(週◯個、月◯個など)
  • 品質が均一

メリット

  • 一度取引が始まれば、安定した売上が見込める
  • 自分で販売しなくてよい
  • ブランド認知が広がる

デメリット

  • 粗利率が低い(直売の半分程度)
  • 生産計画・在庫管理が必須
  • 取引先の倒産・契約終了リスク

向いている事業者

  • 生産能力に余裕がある
  • 安定供給できる体制が整っている
  • 粗利率が低くても、量でカバーできる

【販路④】マルシェ・イベント出店

特徴

  • 対面で直接販売
  • 顧客の反応がリアルタイムで分かる
  • 週末・月1回など、不定期開催が多い

収益構造

  • 出店料:1回3,000〜10,000円程度
  • 価格設定:自分で決められる
  • 売上:当日の天候・集客に左右される

求められる商品

  • その場で試食・説明ができる
  • 持ち帰りやすい(重すぎない、壊れにくい)
  • 価格帯:500〜2,000円程度(その場で買いやすい金額)

メリット

  • 顧客と直接対話できる(ファン化しやすい)
  • 商品の反応を即座に確認できる
  • SNSフォロワー獲得のチャンス

デメリット

  • 準備・当日対応・片付けに時間がかかる
  • 天候・集客に売上が左右される
  • 出店料が固定費としてかかる

向いている事業者

  • 商品のストーリーを直接伝えたい
  • テスト販売・新商品の反応を見たい
  • ファンづくり・ブランディングを重視

販路別の利益率を比較する

同じ商品でも、販路によって手元に残る利益は大きく変わります。

例:シフォンケーキ1個(単位原価470円)

販路 販売価格 手数料・経費 粗利益 粗利率
直売所 800円 120円(手数料15%) 210円 26%
EC 800円 190円(手数料5%+送料150円) 140円 18%
560円 0円 90円 16%
マルシェ 800円 50円(出店料を1個あたりに按分) 280円 35%

※送料・出店料の按分方法により変動します

ポイント

  • 粗利率が高い=良い販路ではありません
  • 卸は粗利率が低くても、まとまった数量が安定的に売れる
  • ECは送料負担が大きいが、全国にリーチできる
  • マルシェは粗利率が高いが、労力と時間がかかる

販路ミックスの設計

複数の販路を組み合わせることで、リスク分散と売上最大化を図ります。

① 成長段階に応じた販路戦略

【立ち上げ期】

  • 優先販路:直売所、マルシェ
  • 目的:顧客の反応を見る、認知を広げる、商品を磨く
  • 売上目標:月5〜10万円

【成長期】

  • 優先販路:直売所+EC、または卸1〜2社
  • 目的:リピーター育成、安定供給の仕組み作り
  • 売上目標:月20〜50万円

【安定期】

  • 優先販路:卸中心+EC、直売所は補完的に
  • 目的:効率化、利益率の向上
  • 売上目標:月50万円以上

② 販路ミックスの例

パターンA:少量多品種型(個人事業者)

  • 直売所 50%
  • マルシェ 30%
  • EC 20%

→ 自分のペースで作り、対面販売でファンを増やす

パターンB:安定供給型(法人・グループ)

  • 卸 60%
  • 直売所 30%
  • EC 10%

→ 卸で安定売上を確保し、直売・ECでブランド育成

パターンC:EC特化型

  • EC 80%
  • マルシェ 20%(認知・ファン獲得)

→ 全国展開を目指し、リピーター育成に注力


販路開拓の実務ステップ

① 直売所・道の駅への出品

  1. 施設に問い合わせ:出品条件、手数料、精算サイクルを確認
  2. サンプル持参:商品を見せて、担当者と相談
  3. 出品契約:必要書類(営業許可証のコピーなど)を提出
  4. 初回納品:少量から始め、売れ行きを観察
  5. 定期補充:売れ筋を増やし、動きの悪い商品は入れ替え

② ECサイトの立ち上げ

  1. プラットフォーム選定:BASE・STORES(簡単)、楽天・Yahoo!(集客力)、自社サイト(自由度)
  2. 商品撮影:自然光で、複数アングル
  3. 商品説明文:原材料、サイズ、賞味期限、保存方法、食べ方を明記
  4. 配送設定:送料、配送方法、梱包方法を決める
  5. 集客:SNS、ブログ、広告で認知を広げる

③ 卸先の開拓

  1. ターゲット選定:自社商品と相性の良い店舗をリストアップ
  2. アポイント:電話またはメールで商談の約束
  3. サンプル提供:試食・試用してもらう
  4. 条件交渉:卸値、納品頻度、支払いサイト、返品条件
  5. 契約・初回納品:書面で条件を確認し、納品開始

④ マルシェ・イベント出店

  1. イベント情報収集:自治体、商工会、SNSで情報を探す
  2. 出店申込:主催者に連絡し、出店料・条件を確認
  3. 準備:テント、テーブル、POP、釣銭、梱包資材
  4. 当日販売:笑顔で接客、名刺・チラシ・SNS案内を配布
  5. 振り返り:売上、顧客の反応、改善点を記録

販路ごとの成功ポイント

直売所で売れるコツ

  • 目立つパッケージ:棚に並んだとき、手に取られやすいデザイン
  • POP活用:「地元◯◯産」「今週限定」など、一言で価値を伝える
  • 定期補充:欠品させない、鮮度を保つ

ECで売れるコツ

  • 写真の質:プロ並みでなくても、明るく清潔感のある写真
  • レビュー獲得:初回購入者に「感想をお願いします」と声かけ
  • リピート施策:メルマガ、LINE、次回クーポンでつなぎ止める

卸で信頼を得るコツ

  • 納期厳守:約束した日時に必ず納品
  • 品質の均一性:ばらつきを最小限に
  • コミュニケーション:売れ行きを聞き、改善提案をする

マルシェで印象を残すコツ

  • 試食・試飲:味を知ってもらうのが最強
  • ストーリーを語る:「この野菜は◯◯さんの畑で」など、背景を伝える
  • 次につなげる:SNSフォロー、次回出店日の案内

よくある失敗パターンと対策

失敗①:すべての販路に手を出して疲弊

対策:まずは1〜2販路に絞り、仕組みを作ってから拡大

失敗②:粗利率だけで販路を選ぶ

対策:労力・時間・安定性も含めて総合判断

失敗③:在庫を持ちすぎて廃棄が増える

対策:受注生産、または少量多頻度生産で調整

失敗④:顧客データを取らずに売りっぱなし

対策:どの販路でも、リピートにつながる導線を作る(LINE登録、次回案内など)


販路開拓のチェックリスト

新しい販路を始める前に、以下を確認しましょう。

  •  手数料・経費を含めた粗利益を計算したか
  •  生産能力・納品頻度に無理がないか
  •  賞味期限・配送方法は対応可能か
  •  顧客層と自社商品の相性は良いか
  •  リピート・ファン化の導線を設計したか
  •  撤退基準を決めたか(◯ヶ月やって売上◯万円以下なら見直し)

さいごに

販路開拓は、「選ぶ」ことと「組み合わせる」ことの両方が大切です。すべての販路に全力投球するのではなく、自社の商品・体制・目標に合った販路を見極め、段階的に広げていく。

まずは1つの販路で小さく成功体験を作り、そこで得た学びを次の販路に活かす。この積み重ねが、持続可能な売上を生み出します。

売れる場所を増やすのではなく、売れる仕組みを作る。
その視点で、あなたの販路戦略を一歩ずつ前に進めていきましょう。

 

リロカリコクリの挑戦 ~「田舎で創り田舎で過ごそう」を事業にする、共創型6次化モデル~

はじめに

「リロカリコクリ株式会社」は宮城県加美郡加美町に位置する企業です。空き家の維持・管理、サテライトオフィスの運営、地場産品の商品開発、そして農業を主軸にした地域貢献・振興まで、地域課題の解決に関わる事業を総合的に展開しています。今回はリロカリコクリ株式会社 代表取締役 米津岳さんにお話を伺いました。

【リロカリコクリとは】

Life Re-localization in Regional co-creationを略してリロカリコクリ。

地域共創における生活の地域回帰という意味の造語です。
「田舎で創り田舎で過ごそう」という思いが込められています。

支援事業参加の背景と、伴走支援で描いた拡張戦略

Q.支援事業に参加したきっかけは何ですか?

当時の委託担当の方から声をかけてもらったのがきっかけです。事業の継続・拡大の道筋に悩んでおり、専門家に伴走してもらいながら「今後どう事業を拡大していくか」を計画したかったタイミングでした。過疎地域に必要なのは「雇用」と「人材育成」。それを実現するには事業拡大が不可欠という前提で、一緒に拡張計画づくりを進めました。

Q.実際に参加してみてどうでしたか?

中小企業診断士の方と事業の実態や課題を具体的に議論できたのが大きかったです。厳しい指摘にイラっとする場面もありましたが、会社運営に真剣に向き合うきっかけになりました。理想と現実を見極めつつ「理想を突き詰めるために、実現計画を数字と行動に落とす」姿勢が定着しました。東北農都総研さん等とのつながりも生まれ、ビジネスマッチングなど事業面のサポートが今も続いています。この計画がなかったら売上1,000万円には届かなかったかなと思います。視野と実行力を広げる起点になりました。

事業の軸—“地域に必要とされるか”、そして“人を大切にする”

Q.事業を進めるうえで大切にしていることは何ですか?

「その地域にとって必要とされているか」を最重要の軸に置いています。同じくらい「社員を大切にする」ことも重視しています。法人である以上、社会貢献が目的です。その中に、社員を大切にする、地域課題を見つける、雇用を作る、人材育成をする—といったミッションが入ってきます。空き家の利活用、移住定住の支援、地場産品の開発、農業の実践も、すべて地域課題の解決に繋がる流れの中に位置づけています。

事業の柱—“地域と共に創る”3本のコア

Q.事業の柱は何ですか?

3つの柱で展開しています。

  • コクリ農園

CO-CREATION=共に創る

移住先の空き家に“広大な農地”が付いていたことがきっかけで、未経験ながら「とりあえずやってみよう」という精神で農業を始めました。主な作付けはさつまいも・じゃがいも。ほかにも少量多品目で年間約80種類の野菜を栽培しています(栽培期間中は農薬不使用)。思い通りに育たないもどかしさもありますが、自分で育てた野菜はやはり格別。畑で収穫したその場でかぶりつく—都会の皆さんにも体験してほしい“人生で一番贅沢”とも思える瞬間を、野菜と体験を通じて届けています。販売は地元直売所・マルシェ・インターネットを中心に行っています。

  • 空き家の維持管理

空き家は「悪者」ではありません。家はその時代、その生活を映す“鏡”のような存在。人が住まなくなると途端に痛みが進むからこそ、適切な維持管理で住み続けられる状態を保つことが重要です。所有者に代わり、空気の入れ替え・点検・簡易清掃などの管理を行い、家の思いを次へ“つむぐ”サポートをします。空き家の放置が景観・衛生・安全・防犯に及ぼす影響を踏まえ、「管理と利活用」へつなげる取り組みです。

  • 小野田SO(サテライトオフィス) Mow-Mow

元牛舎だった建物をリノベーションして誕生した宿泊できるオフィスです。自然豊かな環境の中で仕事に集中できるよう設計し、コワーキングスペースとしての一時利用や、移住体験としての宿泊利用も可能で、「田舎で創り田舎で過ごそう」を体感できる拠点として運営しています。

6次化を目指す方へ—“やめるな”、理想に数字と共創を

Q.6次化に挑戦する事業者・生産者へのアドバイスをお願いします。

一言で言えば「やめるな」です。できない、意味がない、売れない…と言われることもあると思います。それで諦めるくらいなら最初からやらない方がましです。多様な意見に振り回されすぎず、自分の“軸”に必要な要素を付け足しながら前へ進んでください。融資や資金調達を目指すなら「数字」は不可欠です。ただし、それだけでは不十分で「熱意」と「信頼」も同じくらい重要です。達成できると自分が本気で思えるかどうか。そのうえで、地域で6次化を進めるなら「地域と共に創る(共創)」ことが鍵になります。地域の人、行政、支援機関、事業者同士が課題と資源を持ち寄り、一緒に事業を形にする—競い合うより“共に創る”姿勢が持続性を生みます。


地域の課題を事業に変え、暮らしの基盤を強くする——リロカリコクリの実践は、6次化を地域と共に創るプロジェクトへ押し広げています。「田舎で創り田舎で過ごそう」という合言葉のもと、コクリ農園・空き家の維持管理・小野田SO Mow-Mowの三本柱が、人と仕事と住まいをつなぎ直していきます。これから地域資源の活用を考えている方は、是非リロカリコクリの取り組みを参考にしてみてください。次の一歩を踏み出すきっかけになりましたら幸いです。

【インタビュー企業】

リロカリコクリ株式会社

HP:https://re-localicocre.com/

Instagram

リロカリコクリ株式会社        @re_localicocre

小野田サテライトオフィスMow-Mow  @onoda.so.mow_mow

代表取締役 米津岳           @gyonezu

 

後編:自然卵農園の挑戦 ~震災からの再出発、働き方の受け皿、そして「やさしさ」で育てる6次化~

はじめに

「自然卵農園株式会社」は南三陸町に位置し、自社養鶏場にてこだわりの自然卵「卵皇(らおう)」を生産。また、「卵皇(らおう)」を核に、クレープやプリンなどの菓子を製造・販売している企業です。2004年のキッチンカーからスタートし、現在は青葉区五橋の「自然卵のクレープ 五橋店」と、南三陸町ハマーレ歌津商店街の工場兼店舗を運営。店舗運営に加え、卸売やフランチャイズ展開にも取り組んでいます。後編では、震災を乗り越え、自然養鶏と菓子づくりを融合させて歩んできた代表取締役 大沼あかねさんに、事業の起点などについて伺いました。

事業の始まりと震災—自然養鶏への転機

Q.事業を始めたきっかけは?

嫁ぎ先の商店街で夜市があり、そこでクレープを出したのが始まりです。当時(約30年前)は仙台以外でクレープが珍しく、2004年にキッチンカーを始めると子どもたちの行列ができました。

Q.震災後の歩みは?

2011年の東日本大震災で自宅やキッチンカー、全てを失いました。悩んだ末、自然養鶏に挑戦を決め、家族で北海道・江別市に移住して研修を受けました。研修2年目には小さなクレープ店も開店し、札幌近郊で受け入れられるか販売実習。2012年末に夫が先に帰郷し鶏舎準備、2013年4月に家族で帰省し就農しました。同年10月、南三陸町の復興商店街に空きが出て内装を自前で整え、11月に開店しました。

フランチャイズ展開—多様な働き方の受け皿に

Q.フランチャイズ化のきっかけは何ですか?

北海道の時のお店が最初のフランチャイジーです。働いていた女性が名乗りを上げ、フランチャイジーになってくださいました。その後も、「私もキッチンカーをやりたい」と主婦の方々からも声があり、徐々にフランチャイズ展開をしていきました。半数は主婦で、シングルマザーも多く、短時間で自分の時間を確保したいというニーズに合致しました。保証はありませんが、柔軟な働き方の選択肢になっています。

大切にしていること

Q.事業を進める中で、一番大切にしていることは?

「やさしさ」です。従業員は女性が多く(養鶏場は男性ですが)、細かな気遣いが良いサービスにつながると信じています。お客様にも、働く人にも、やさしい現場をつくることが事業の土台です。

6次化を目指す方へ

Q.生産者への応援メッセージをお願いします。

6次化は「小さく始められる」のが魅力です。商売になる・ならないに関係なく、まず一度作ってみる。今はレンタルキッチンもあり、試しやすい環境です。作って、どこかに持っていく。原料の良さを一番わかっているのは、生産者自身。あなたが作った商品が、いちばんおいしいはずです。

さいごに

震災を越えて生まれた自然卵「卵皇」と、素材を活かす職人技。そこに循環型の飼育と、現場を支える「やさしさ」が重なって、自然卵農園の6次化は強くやさしく前に進んできました。生産者だからこそ見える原料の良さを信じて、一歩を踏み出すきっかけとなりましたら幸いです。

 


[インタビュー企業]

自然卵農園株式会社

「自然卵農園菓子工房」 Instagram @sizentamago_kasikoubou

南三陸町ハマーレ歌津商店街内

https://hamare-utatsu.com/welcome/welcome.cgi?item=231128152020

 

「自然卵のクレープ 五橋店」 Instagram @ofm_szts

宮城県仙台市青葉区五橋2丁目11−18  第三ショーケービル壱号館1F

五橋駅(南出口1)より徒歩3分