アーカイブ

archive
宮城県地域資源活用・地域連携サポートセンター > 最新情報 >

庄福丸の挑戦 ~漁業の未来を切り拓く~

 

はじめに

「株式会社庄福丸」は、宮城県亘理町を拠点とし代々海と共に暮らし漁業を営んできました。漁獲から加工・製造、流通までを自社で行い、時代の荒波に負けない強い魚食文化を作ることを目指しています。今回は、先代から事業を引き継いだ加工部門責任者 清水谷結香さんに庄福丸の取り組みや6次産業化への挑戦についてお話を伺いました。

支援事業について

Q.支援事業へ参加したきっかけは何ですか?

支援事業に参加したのは令和3年度、コロナ禍で消費が落ち込み魚に値段がつかない厳しい時期でした。競りを開いても魚が売れず、どうにかしなければならない状況の中で加工に力を入れることを決意し、頭や鱗を落とすなどの簡単な加工しかしていなかったところから、弁当惣菜などの本格的な加工に取り組み始めました。

また、HACCP(食品衛生管理システム)の法律が厳しくなり、経営の知識が乏しい中で事業を継承するタイミングだったこともあり、支援事業を「駆け込み寺」として活用しました。

Q.実際に支援事業に参加してみてどうでしたか?

支援事業では、経営の基礎を学び、黒字化に向けたシートを作成してもらいました。例えば、黒字にするにはいくら売らなければならないか、産直事業をどう進めるべきかなど、具体的な指導を受けました。さらに、飲食店とのマッチングを通じて販路を拡大し、仙台を中心に約30店舗に新鮮な魚を届けることができるようになりました。

ただし、支援事業の初期段階では、事前のすり合わせが不足していたため、方向性がズレることもありました。もっと要望を出していれば、さらにスムーズに進められたかもしれません。それでも、売上は伸び徐々に成果を上げています。

漁業の強みを活かす

Q.漁業の強みをどのように活かしていますか?

漁師の最大の強みは「鮮度」です。低未利用魚などの市場に出回らないような魚を飲食店に直売することで、安く新鮮な魚を届けることができます。特に「神経締め」といった高鮮度処理を施しており、魚の細胞を生かし旨味成分を守ることで、切り身の鮮度が1週間後でも保たれるようにしています。

また、一般の消費者の方や飲食店の方に漁業の現場を知ってもらうことも大切にしています。浜の風景や漁の様子を見てもらうことで、食材としてのストーリーに深みが増し、魚を食べる際の受け取り方が変わると感じています。また、漁業の過酷さや面白さを知ってもらうことで、魚食文化をより身近なものにしていきたいと思っています。

イベントや食育を通じた地域貢献

Q.イベントや食育の取り組みについて教えてください。

漁業者として、地域のイベントに積極的に参加しています。例えば、わたりふるさと夏祭りでは、低未利用魚などの漁業の現場で扱いにくい魚を、お弁当やお惣菜などの加工品として販売しています。夏場は魚が獲れない季節ですが、イベント販売などで売り上げを補っています。

また、保育園での食育授業にも取り組んでいます。管理栄養士の方とのつながりをきっかけに、子どもたちに魚を食べる楽しさを伝える活動を2年間続けています。漁師としての経験を活かし、漁の様子や海の現状、実際に水揚げした魚を使って魚の特徴や内臓の説明を伝えており、魚の命をいただき、食卓に上がるまでの過程を知ってもらうことを大切にしています。

 

大切にしていること

Q.事業を進める中で一番大切にしていることは何ですか?

私たちは「現場主義」を大切にしています。漁業の現場を知ることで、魚を食べる際の価値が変わると信じています。私自身も船に乗るまで漁業の過酷さや面白さを知らず、現場を見て初めてその魅力に気づきました。また、魚離れが進む中で、魚のさばき方や食べ方を伝え、魚を身近な存在にすることが重要だと考えています。イベントや食育を通じて、魚食文化を次世代に繋げていきたいと思っています。

6次産業化を目指す生産者へのメッセージ

Q.6次産業化に取り組む生産者へ応援メッセージをお願いします。

6次産業化を進める上で、今まで対面していなかった消費者と向き合うことになるので、考える頭は多い方がいいと思います。漁業の専門知識がない方でも、知らないからこその意見が新たな視点を与えてくれることがあります。支援事業に参加したことで、たくさんの意見をもらい、浜の視点だけでなく様々な立場の消費者の声や気づきを得ることができました。

試しにやってみようくらいの気持ちで応募してみることが、次のステップへのきっかけになるかもしれません。色々な人の知恵を借りてアイデアを出すことで、進むべき道が見えてくるはずです。

最後に

庄福丸の挑戦が、漁業の可能性を広げる新たなロールモデルとなることを期待しています。鮮度へのこだわりや、イベント・食育を通じた地域貢献は、漁業の枠を超えた価値を生み出しています。

6次産業化は、地域資源を活かしながら持続可能な事業を実現するための重要なステップです。産業のベースであり、人々の生活を食の面から支える一次産業の担い手として、これからも地域の活性化に貢献したいと思います。庄福丸の取り組みが地域課題の解決の一例になれば幸いです。

[インタビュー企業]

株式会社庄福丸

HP:https://www.shofukumaru-watari.com/

Instagram:@shofukumaru_watari