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ケロケロの杜の挑戦~試行錯誤から生まれる攻めの6次産業化~

はじめに

「ケロケロの杜」は宮城県名取市、仙台空港近くに位置するイチゴ農園です。1年中イチゴが楽しめる農園として、カフェ事業やお土産品開発など6次産業化に挑戦しています。今回は山口睦美代表にこれまでの取り組みと今後の展望についてお話を伺いました。

支援事業への参加

Q.支援事業に参加したきっかけは何ですか?

カフェの事業を展開するというところからのスタートでした。自分たちでオペレーションを作ったりとかは難しいよねっていうことで参加しました。
また、常温で気軽に持ち帰れるお土産品を考えていました。既存の設備だと難しいということで、今は冷凍でのお土産品の開発と、キッチンカーでの展開という形で商品はちょっとずつ増えてきています。イチゴを捨てるのにもお金がかかっていたところを、しっかり活用出来たらという思いでした。

Q.支援を受けてみてどうでしたか?

やっぱりキッチンカーとは違った店舗の運用の難しさも実感しましたし、マニュアルまでオペレーションを落とし込んでいくというのが本当に大変だと思いました。

1年中イチゴ狩りを実現する栽培技術

Q.1年中イチゴ狩りができるのはなぜですか?

七ヶ宿(杜のいちご)での栽培経験を生かして、夏イチゴを栽培をしているからです。夏イチゴ自体があるのが珍しいので、そこをもっとPRしていきたいと思っています。
ただ、1年中おいしいイチゴを提供したいっていう気持ちはありますが、量がなかなか取れない時もあり…。量はお客様の満足度にも繋がるので、難しい部分もあります。

Q.栽培でこだわっているポイントを教えてください。

品種の選定と光合成を促すために炭酸ガスを出す装置を設置しています。名取の圃場には重油などを用いた暖房を置いていないですが、イチゴ農家は暖房機を使用しているところが多いです。寒い時期は暖房をつければ二酸化炭素が発生するので、光合成は促されますが、暖かくなってくると暖房を使わなくなったときに炭酸ガスを使用して光合成を促すことで、酸っぱくなりがちなところを甘く作れるように工夫しています。
山元町の圃場にもついているので、冬イチゴだけど4月、5月になってももっとおいしく、甘く作れるはずです。

SNS運用と集客戦略

Q.SNSに継続的に素敵な投稿が多いですが、どなたが担当されていますか?

内容はざっくり私が考えてます。画像作成などは業務委託でデザイナーさんにお願いしています。たまに私が撮ったやつが投稿されることもありますが、毛色違うなって思うんですよね。プロが作ると違います。あとはただ言いたいこと言ってるだけです(笑)空港からのルートなどわかりやすく伝えるようにしています。

Q.集客施策について教えてください。

いちごの収穫量には上限があるのでいちごが小さい時期、少ない時期でも楽しんでいただけるようにと単価を低く設定したパフェ作りプランを始めました。いちごには量だけでなくサイズの大小もお客様の満足度にもかかわるので小さいいちごを活かしたプランができたと思います。

オペレーションと人材活用

Q.パフェ作りはやはり人でがかかりますか?

パフェに関しては、タイミーさん(短期人材マッチングサービス)にもお願いしています。そのために、オペレーションの標準化にも取り組んでいます。何時までに何をするとか、何個このセットを作るとか、マニュアルにしっかり起こして、誰が来ても出来る状態にしています。そこに人が取られてしまうと、どうしても接客対応する人が減ってしまうので、週末は学生のバイトさんが入れば助かるんですけど、定着が難しいのでタイミーさんを頼っています。

海外からのお客様

Q.日常的に海外の方も多くいらっしゃいますか?

アジア圏の方が多くいらっしゃいます。台湾の方とかよくツアーでいらっしゃいます。
やっぱり自分で収穫するという体験が喜ばれます。あとは本当に写真。全然食べずに写真撮ってる方もいらっしゃいます。「今しか飲めないよ」と案内すると、キッチンカーでジュースとかフルーツティーを注文される方も多いので、有難いです。イチゴを持って帰ることはできないので、常温のお土産もあれば…という感じです。

これから挑戦する方へ

Q.6次化に挑む生産者へメッセージをお願いします。

やっぱり何を始めるにも初期費用はかかります。すぐにペイできるかっていうと、やっぱりそういうものでもないというところがあるので、適度に本業とのバランスをうまく取りながら進めていく必要があります。やっぱり生産ありきの6次化っていうのがあるので、生産をしっかり基盤に持って、できる範囲から始めていくというのがいいかなとは思いますね。

設備投資でいうと、キッチンカーを入れる時には補助金を活用したので、結構いいミキサーとか入れましたが、実際回すだけなら家庭用でも大丈夫という部分はありました。1台4,000円程の消耗品として考えるか、1台20万円の資産として考えるかというところです。お金をかけるところはしっかりかけますが、省けるところは省くという見極めも大事です。思ったより計画通りにうまくいかないので。

新しいことを始めるということに対しての補助金は色々と見かけるので、ハードルが低く自分に合うものを活用して進めていくのがいいかなと思います。

さいごに

「ケロケロの杜」の挑戦は、イチゴ生産という本業を基盤に、カフェ事業やお土産品開発、キッチンカー運営など、着実に6次産業化を進めています試行錯誤を重ねながらも、計画通りにいかないことを前提に柔軟に対応し、着実に事業を成長させています。
ぜひこの挑戦を参考にしてみてください。

[インタビュー企業HP]

HP:https://kerokero.kerokeroichigo.com/

Instagram:@kerokero_ichigo

やくらい土産センターさんちゃん会の挑戦 ~直売所×加工×地域連携で続く拠点をつくる~

はじめに

「やくらい土産センター」は宮城県加美郡加美町にある、やくらい交流施設群の1つとして平成6年に誕生した農林産物直売施設です。地元農家の直売組織「さんちゃん会」(じいちゃん・ばあちゃん・かあちゃんの三人の“ちゃん”が由来)が支え、採れたての産物で棚を満たすライフスタイルが地域に根づいています。今回は、事務長の早坂さんに、支援事業での学びや直売所のこれからについて伺いました。

支援事業参加の背景と、現場で生きる学び

Q.支援事業に参加したきっかけは何ですか?

普及センターの紹介がきっかけです。ちょうど既存商品の見直しや売場の強化を考えていた時期でした。例えば、カップアイスをもっと売っていこうと思い、パッケージをおしゃれに「英語表記で今風に」と検討していました。関西の会社の方にも意見を求めましたが、「今のデザインの良さも活かせる」との助言であえて現行を採用しました。流行に流されすぎない判断ができたのは大きかったです。

Q.実際に参加して得たことは?

レイアウトや商品構成、目標の立て方まで、組合長を中心に多くを学びました。地域内にも声がけして新たにさんちゃん会に参加いただくなど、ネットワークづくりも前進。貸農園(コミュニティガーデン)の構想など、「地域と一緒に畑を育てる」動きも芽生えています。

運営の核は“人”―会員とのコミュニケーション

Q.事業を続けるうえで大切にしていることは?

会員さんとのコミュニケーションを何より大切にしています。2~3日顔を見ないと心配になります。1週間来られないと入院されていることも…。若い頃からの付き合いで、私にとっては“職場の父母”のような存在です。「初物だから食べな」と声をかけてもらうこともあります。こうした人間関係が直売所の土台ですね。

直売所のこれから―若い世代と加工の担い手づくり

Q.今後、直売所を伸ばしていくための課題と方向性は?

高齢化が進み、車で来られないお客様も増えています。一方、若い方は生鮮野菜の購買が少ない傾向もあります。加工品のニーズはあるのですが、加工を担う会員が減っているのが悩みです。町でも6次化支援はありますが、高齢の方にはハードルが高い。新しいことに挑戦する若い担い手の育成・受け入れが急務です。

直売所に加工場が併設されているのは本当に恵まれた環境です。設備は整っているので、惣菜やジャムなどに挑戦したい方にぜひ入っていただきたい。バックヤードで出る“痛み始めの野菜”なども工夫次第で価値に変えられます。ご年配の方向けの惣菜はもちろん、若い方向けの新しい商品も増やしたいですね。

食堂とジェラート―地元食材の“おいしい”活用

Q.食堂・ジェラートを始めた理由とこだわりは?

食堂は当初、地域にジンギスカンのお店があったので差別化で牛のステーキ・焼肉からスタートし、その後ラーメンへと転換しました。ジェラートは地元の牛乳と地元食材にこだわっています。ブルーベリー(自家製ジャム使用)、枝豆、醤油、わさび、いちじく、ばっけ(“ふきのとう”—4月後半~5月)など、旬のものを季節限定で味を楽しんでもらえるよう工夫しています。一番人気はブルーベリー。実は“豆腐”フレーバーも隠れたおすすめです。

以前は1つのフレーバーを長く提供できましたが、今は採る方も少なく食材調達が難しいです。また加工をしてくださる方も減っています。そのため人気の季節フレーバーがすぐに終わってしまうこともありますが、無理に広げず、地元の旬と品質を優先して続けています。

人材・採用のリアル―地域で続けるために

Q.人材面の状況はいかがですか?

パートさんの確保が難しく、賃金も上がっています。温泉や食堂もハローワーク経由で採用しますが、定着が課題です。若い方は都市部へ出る傾向が強いですが、Uターンで戻ってきた30代半ばの方など、明るい兆しもあります。加工・調理を担える若い方が活躍できる場は用意できますので、是非興味がある方は挑戦していただきたいです。

6次化を目指す方へ

Q.これから6次化を目指す生産者へメッセージをお願いします。

若い方にぜひ挑戦してほしいです。直売所の加工場という“舞台”は既にあります。資源は揃っていますから、痛み始めの野菜の活用など、アイデア次第でいくらでも価値化できます。まずは遠慮なく扉を叩いてください。一緒に“地域の食”を次の世代につないでいきましょう。


やくらい土産センターさんちゃん会は、直売・加工・食の場を一体で運営しながら、地域の人と資源をつなぐハブとして進化してきました。高齢化や人手不足、物価高など課題は多いものの、「場」「人」「素材」を組み合わせて価値を生み出す余地は大きいです。これから6次化に踏み出すみなさんにとって、地域の強みを活かすヒントになりましたら幸いです。

[インタビュー企業]

やくらい土産センター・山の幸センターHP

https://www.yakurai-dosan.jp/index.html

後編:未来彩園の挑戦 ~6次産業化で広がる可能性~

はじめに

「㈱未来彩園」は、宮城県黒川郡大衡村にある最新技術を活用し、農福連携しながらトマト栽培を行う農園です。自然環境に配慮した有機栽培やコンピューターによる潅水・環境制御を取り入れ、病害虫が少ない安全・安心なトマトを提供しています。今回は、常務取締役の瀬尾誠さんに、未来彩園の取り組みや6次産業化への挑戦についてお話を伺いました。後編では、6次産業化への挑戦と商品開発の裏側、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします。

6次産業化への挑戦

Q.6次化に挑戦しようと思ったきっかけは何ですか?

廃棄されるトマトを活用した商品を作りたいと思ったのがきっかけです。最初はピューレや味付きの商品を考えましたが、業務用としては味付けがない方が使いやすいことが分かり、1次加工品に方向性を変更しました。こうした商品開発には、ローカルフードプロジェクト(LFP)の支援が欠かせませんでした。

Q.商品開発で苦労したことは?

自社で加工施設を作るのは現実的ではないため、まずは連携先を探そうというスタンスで進めました。マーケティングやテイスティングを仕組みの中で行うことで、より効果的に商品開発を進めることができました。また、会社内で試食を重ね、さまざまな意見を取り入れながら商品を改良していきました。

[トマトクリームリゾット缶詰]

3,500円(税込み、送料込み)『地産地消・防災ごはん缶』

未来彩園のトマトを使用し、木の屋石巻水産様と共同開発 したトマトクリームリゾット缶詰めです。

https://www.miraitomato.com/pages/24/

6次化を目指す生産者へのメッセージ

Q.6次化に取り組む生産者へメッセージをお願いします。

6次産業化を成功させるには、他の方々との連携が最大のポイントです。自社だけで完結しようとすると失敗する可能性が高いです。これまでの経験から、農商工連携や行政の支援を活用することが重要だと感じています。

また、補助金の仕組みを理解し、経営上の課題に対応していくことも必要です。6次化は簡単ではありませんが、地域の資源を活用し、連携を深めることで道が開けるはずです。

さいごに

未来彩園の挑戦は、6次産業化を目指す生産者にとって、農業の可能性を広げる貴重な事例です。廃棄トマトを活用した商品開発や、福祉との連携を通じた地域貢献は、単なる農業の枠を超えた新たな価値を生み出しています。

6次産業化は、地域資源を活かしながら、持続可能な農業を実現するための重要なステップです。未来彩園の取り組みを参考に、地域の課題を解決しながら新たな可能性を切り開いていきましょう。

[インタビュー企業HP]

https://www.miraitomato.com/

 

前編:未来彩園の挑戦 ~安心・安全なトマト栽培と地域貢献~

はじめに

「㈱未来彩園」は、宮城県黒川郡大衡村にある最新技術を活用し、農福連携しながらトマト栽培を行う農園です。自然環境に配慮した有機栽培やコンピューターによる潅水・環境制御を取り入れ、病害虫が少ない安全・安心なトマトを提供しています。今回は、常務取締役の瀬尾誠さんに、未来彩園の取り組みや6次産業化への挑戦についてお話を伺いました。

支援事業への参加

Q.支援事業へ参加したきっかけは何ですか?

普及センターから「こういう事業があるよ」と声をかけてもらったのがきっかけです。追加募集があったタイミングで応募しました。特に商品開発において、廃棄されるトマトが年間10トンもあるため、これを何かに活用できないかと考え応募しました。

Q.実際に参加してみてどうでしたか?

販路拡大の面で大きな成果がありました。スーパーなどを紹介していただき、確実に商品が売れるようになりました。また、事業計画書を作成することで、単価アップを目指す意識が高まりました。実際にキロ当たりの単価も引き上げることができました。ただし、天候や相場に左右されるため、単価交渉は常に課題です。

トマトへのこだわり

Q.栽培しているトマト「富丸ムーチョ」へのこだわりは?

「富丸ムーチョ」は、糖度と酸味のバランスが良く、懐かしいトマト本来の旨さが特徴です。肉厚で中のゼリーが崩れず、日持ちも抜群です。20年前にオランダ式の栽培方法を導入して以来、さまざまな品種を試しましたが、味・収量・形の面で「富丸ムーチョ」に勝るものはありませんでした。

Q.栽培環境や技術について教えてください。

栽培環境は常に清潔に保ち、病害虫対策としてIPM(総合的病害虫・雑草管理)を取り入れています。また、大学や研究所の方々によって、振動を利用してコナジラミの生殖行動を抑える実験も行われています。こうした技術を活用しながら、安全で高品質なトマトを安定的に生産しています。

福祉への取り組み

Q.福祉系の取り組みについて教えてください。

未来彩園では、A型就労支援事業所として、雇用を進めています。B型就労支援事業所が今は増えてきていますが、雇用契約を結び、給与を支払いながらきちんと活躍してもらう場を作ろうと考え、A型就労支援を行っています。現在は3名を雇用しており、年度内には10名を目標としています。自力で通えることが条件ですが、見学や体験実習なども行っています。

農福連携に関する詳細はこちらのHPをご覧ください!

https://stage8805.wixsite.com/miraitomato


今回は、支援事業に参加してみた感想や事業へのこだわりをお伺いしました。

次回は未来彩園が6次産業化に挑戦した背景や商品開発の裏側、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします。お楽しみに!

[インタビュー企業HP]

https://www.miraitomato.com/

 

地域連携とコラボレーション:単独では難しいことを、協業で実現

はじめに

6次化を一人で進めていると、「もっと生産量を増やしたい」「新しい販路を開拓したい」「認知を広げたい」という壁に必ずぶつかります。しかし、すべてを自分一人で解決する必要はありません。

地域の仲間と手を組めば、単独では難しいことが実現できます。生産者同士の協力、異業種とのコラボ、自治体や支援機関との連携。それぞれの強みを持ち寄ることで、販路も認知も信頼も広がります。

本コラムでは、地域連携とコラボレーションの具体的な進め方、成功のポイント、そして小さく始める方法をお伝えします。

なぜ地域連携・コラボレーションが必要なのか

単独の限界

  • 生産能力:自分一人では作れる量に限界がある
  • 販路:個人では大口取引や大型イベントに参加しにくい
  • 認知:一人で発信しても、届く範囲は限られる
  • 専門性:デザイン、営業、ITなど、すべてを一人でこなすのは困難

連携・コラボがもたらす5つの価値

① 生産力の向上

  • 複数の生産者で分担し、大口注文に対応

② 販路の拡大

  • 共同出店、共同販売で新しい市場へ

③ 認知の拡大

  • 互いの顧客にリーチできる
  • 話題性が生まれ、メディアに取り上げられやすい

④ コスト削減

  • 資材の共同購入、配送の共同化

⑤ 学びと刺激

  • 仲間から学び、モチベーションが上がる

地域連携・コラボの4パターン

パターン①:生産者同士の連携

内容

  • 同じ地域の農家、加工業者が協力
  • 共同出荷、共同ブランド、共同イベント

  • 「◯◯地区の野菜セット」を共同販売
  • 複数の農家で「朝市グループ」を結成
  • 規格外野菜を持ち寄り、共同で加工

メリット

  • 品揃えが豊富になる
  • 大口注文に対応できる
  • 情報交換、助け合いができる

パターン②:異業種とのコラボ

内容

  • 飲食店、カフェ、宿泊施設、小売店などと協力
  • 商品開発、メニュー提供、販売委託

  • 地元カフェで自社ジャムを使ったメニュー提供
  • 宿泊施設の朝食に自社商品を採用
  • パン屋とコラボして「◯◯ジャムパン」を開発

メリット

  • 新しい顧客層にリーチ
  • 商品の使い方が広がる
  • 互いの集客力を活かせる

パターン③:自治体・支援機関との連携

内容

  • 市町村、商工会、農業改良普及センター、観光協会などと協力
  • イベント参加、補助金活用、PR支援

  • 自治体主催のマルシェ、物産展に出店
  • 観光協会のパンフレットに掲載
  • ふるさと納税の返礼品に登録

メリット

  • 公的な信頼が得られる
  • 広報・PRの支援が受けられる
  • 補助金、助成金の情報が得やすい

パターン④:企業・団体とのコラボ

内容

  • 地元企業、NPO、大学などと協力
  • 商品開発、販路開拓、研究協力

  • 地元企業の社員食堂に商品を納品
  • 大学と共同で商品開発・成分分析
  • NPOと協力して、福祉施設での販売

メリット

  • 専門知識、ネットワークを活用できる
  • 新しい視点が得られる
  • 社会的意義が高まる

コラボの進め方5ステップ

ステップ1:目的を明確にする

問い

  • 何を実現したいのか?
  • なぜ一人では難しいのか?
  • 誰と組めば実現できるか?

  • 「大口注文に対応したい」→ 生産者同士で連携
  • 「認知を広げたい」→ カフェとコラボ
  • 「新商品を開発したい」→ 異業種とコラボ

ステップ2:パートナーを探す

探し方

  • 地域のマルシェ、イベントで声をかける
  • 商工会、農業改良普及センターに相談
  • SNSで発信し、興味を持った人とつながる
  • 知人の紹介

選び方のポイント

  • 価値観が合うか(品質へのこだわり、地域への想いなど)
  • 信頼できるか
  • 互いにメリットがあるか

ステップ3:提案する

提案の仕方

  • まずは対面で会う(電話、メールでアポイント)
  • 自己紹介、自社商品の説明
  • 「一緒にこんなことができたら」と具体的に提案

提案例

  • 「うちのジャムを使ったメニューを作りませんか?」
  • 「一緒にマルシェに出店しませんか?」
  • 「規格外野菜を使った商品を共同開発しませんか?」

ポイント

  • 相手のメリットを明確に伝える
  • 押し付けない、相手の意見を聞く

ステップ4:条件を決める

決めるべきこと

  • 役割分担(誰が何をするか)
  • 費用負担(材料費、出店料、広告費など)
  • 利益配分(売上をどう分けるか)
  • 期間(いつまで続けるか、見直しのタイミング)
  • 契約の有無(口約束か、書面か)

ポイント

  • 曖昧にしない、最初に明確にする
  • 小さく始めて、うまくいったら拡大

ステップ5:実行し、振り返る

実行

  • 決めた役割を守る
  • こまめに連絡を取り合う

振り返り

  • 定期的に(月1回、イベント後など)集まる
  • 良かった点、改善点を共有
  • 次のアクションを決める

ポイント

  • うまくいかなければ、柔軟に見直す
  • 感謝を伝え合う

成功のポイント

ポイント① Win-Winの関係を作る

大切なこと

  • 一方だけが得をする関係は続かない
  • 互いにメリットがあるか、常に確認

  • カフェ:新メニューで集客、ジャム販売で売上
  • 生産者:認知拡大、新しい販路

ポイント② 役割分担を明確にする

大切なこと

  • 「誰が何をするか」を最初に決める
  • 曖昧なまま進めると、トラブルの元

  • A農家:野菜の生産・納品
  • B加工業者:加工・パッケージ
  • C販売者:販売・集金

ポイント③ コミュニケーションを密にする

大切なこと

  • こまめに連絡を取り合う
  • 困ったことがあれば、すぐに相談

方法

  • LINEグループを作る
  • 月1回、対面で打ち合わせ
  • イベント後は必ず振り返り

ポイント④ 小さく始める

大切なこと

  • 最初から大きく投資しない
  • テストして、うまくいったら拡大

  • まずは1回のイベント共同出店から
  • 1商品だけコラボ開発
  • 1ヶ月限定でメニュー提供

ポイント⑤ 感謝と尊重

大切なこと

  • 「ありがとう」を忘れない
  • 相手の事情、やり方を尊重する

  • 「助かりました」「おかげで成功しました」
  • 意見が違っても、否定しない

よくある失敗と対策

失敗①:役割分担が曖昧で、トラブルに

原因

  • 「誰が何をするか」を決めていなかった
  • 「言わなくても分かる」と思い込んだ

対策

  • 最初に役割分担を明確にする
  • 書面に残す(簡単なメモでもOK)

失敗②:利益配分で揉める

原因

  • 売上の分け方を決めていなかった
  • 費用負担が不公平だった

対策

  • 事前に利益配分、費用負担を決める
  • 定期的に見直す

失敗③:一方だけが負担を感じる

原因

  • Win-Winの関係になっていなかった
  • コミュニケーション不足

対策

  • 定期的に「困っていることはないか」を確認
  • 不満があれば、早めに話し合う

失敗④:最初から大きく始めて、失敗

原因

  • いきなり大量生産、大型イベント
  • 相性を確認せずに進めた

対策

  • 小さく始める(1回のイベント、1商品など)
  • うまくいったら拡大

今日から始める5ステップ

  1. 実現したいことを書き出す(単独では難しいこと)
  2. 協力してくれそうな人・組織をリストアップ
  3. 1人に声をかけてみる(まずは雑談から)
  4. 小さなコラボを提案する(1回のイベント、1商品など)
  5. 実行し、振り返る

さいごに

地域連携とコラボレーションは、「一人では難しいことを、仲間と実現する」ための最強の手段です。生産力、販路、認知、すべてが広がります。

大切なのは、Win-Winの関係を作り、小さく始めること。最初から完璧を目指さず、1回のイベント、1つの商品から。その積み重ねが、地域全体を盛り上げ、あなたの事業を成長させます。

一人で頑張らなくていい。仲間と一緒に、もっと大きな夢を。
地域の力を信じて、最初の一歩を踏み出しましょう。

 

人材育成と作業標準化:属人化を防ぎ、品質を安定させる仕組みづくり

はじめに

6次化で事業が軌道に乗ると、次に直面するのが「自分がいないと回らない」という課題です。レシピは頭の中、作業手順は感覚頼み、接客も自分だけ。これでは、体調不良や繁忙期に対応できず、事業拡大も困難です。

解決の鍵は、作業の標準化と人材育成です。誰が作っても同じ品質、誰が売っても同じ接客。この仕組みを作ることで、事業は持続可能になり、あなた自身の時間も生まれます。

本コラムでは、小規模事業者でも今日から始められる、作業標準化と人材育成の実践方法をお伝えします。

なぜ作業標準化と人材育成が必要なのか

属人化がもたらす3つのリスク

① 品質のばらつき

  • 作る人によって味や見た目が変わる
  • お客様の信頼を失う

② 事業の停滞

  • 自分が休めない、旅行にも行けない
  • 体調不良で売上がゼロになる

③ 拡大の限界

  • 自分の手が回る範囲でしか作れない
  • 新しい販路や商品に挑戦できない

標準化と育成がもたらす3つの価値

① 品質の安定

  • 誰が作っても同じ味、同じ見た目
  • リピーターの信頼が高まる

② 時間の創出

  • 任せられる仕事が増える
  • 商品開発、営業、戦略に時間を使える

③ 事業の成長

  • 生産量を増やせる
  • 新しい挑戦ができる

作業標準化の3ステップ

ステップ1:作業を「見える化」する

やり方

  • すべての作業を書き出す
  • 製造、包装、販売、事務など、すべて

例:ジャム製造の作業リスト

  1. 原料の計量
  2. 洗浄・カット
  3. 煮込み
  4. 瓶詰め
  5. 冷却
  6. ラベル貼り
  7. 検品・梱包

ポイント

  • 「当たり前」と思っている作業も書く
  • 細かく分解する

ステップ2:手順書を作る

手順書に書くべき項目

  1. 作業名
  2. 目的(なぜこの作業をするか)
  3. 必要な道具・材料
  4. 手順(写真付きで、ステップごとに)
  5. 重要ポイント(失敗しやすい箇所、品質の決め手)
  6. 所要時間
  7. 完成の基準(どうなったらOKか)

例:ジャムの煮込み手順書

【作業名】ジャムの煮込み

【目的】果実と砂糖を煮詰め、適切なとろみをつける

【必要な道具・材料】

  • 鍋(ステンレス製、◯リットル)
  • 木べら
  • タイマー
  • 温度計
  • いちご 1kg、砂糖 600g

【手順】

  1. 鍋にいちごと砂糖を入れ、中火にかける
  2. 沸騰したら弱火にし、アクを取る
  3. 木べらで時々かき混ぜながら、20分煮る
  4. 温度が103℃になったら火を止める
  5. 冷めたら、とろみがつく

【重要ポイント】

  • 焦げ付かないよう、5分ごとにかき混ぜる
  • 温度が105℃を超えると固くなりすぎる

【所要時間】30分

【完成の基準】

  • 色:鮮やかな赤
  • とろみ:スプーンから落ちる速度がゆっくり

ポイント

  • 写真を入れると分かりやすい
  • 数値で基準を示す(温度、時間、重さ)

ステップ3:チェックリストを作る

やり方

  • 手順書をもとに、確認項目をリスト化
  • 作業後にチェックする

例:ジャム製造チェックリスト

  •  原料の計量は正確か(いちご1kg、砂糖600g)
  •  煮込み時間は20分か
  •  温度は103℃で火を止めたか
  •  瓶は清潔か
  •  ラベルは正しく貼られているか
  •  賞味期限は記入されているか

効果

  • 抜け漏れを防ぐ
  • 品質が安定する

人材育成の実践4ステップ

ステップ1:やって見せる

やり方

  • 手順書を見せながら、実際に作業する
  • 「なぜこうするか」を説明する

ポイント

  • ゆっくり、丁寧に
  • 質問しやすい雰囲気を作る

ステップ2:一緒にやる

やり方

  • 新しい人に作業してもらい、横で見守る
  • 間違えたら、その場で優しく指摘

ポイント

  • 「できた」を褒める
  • 失敗を責めない

ステップ3:見守りながらやってもらう

やり方

  • 一人でやってもらい、近くで見守る
  • 困ったら助ける

ポイント

  • 自信をつけさせる
  • 「分からないことがあったら聞いてね」と伝える

ステップ4:任せる

やり方

  • 完全に任せる
  • 定期的に品質をチェック

ポイント

  • 信頼を示す
  • フィードバックは具体的に(「良かった点」と「改善点」)

標準化しやすい作業、しにくい作業

標準化しやすい作業

  • 計量:重さ、量を数値化
  • 時間管理:タイマーで測る
  • 温度管理:温度計で測る
  • 包装:手順を写真で示す
  • 清掃:チェックリストで確認

標準化しにくい作業(工夫が必要)

例:「ちょうど良いとろみ」

工夫

  • 温度で基準を作る(103℃)
  • 写真で見本を示す
  • 「スプーンから落ちる速度」を動画で記録

例:「美味しそうな盛り付け」

工夫

  • 見本写真を用意
  • NGパターンも示す
  • 最初は一緒に盛り付けて、感覚をつかんでもらう

接客・販売の標準化

基本の接客フロー

  1. 挨拶:「いらっしゃいませ」笑顔で
  2. 声かけ:「試食いかがですか?」
  3. 商品説明:「地元◯◯農家のいちごを使っています」
  4. おすすめ:「ヨーグルトに合いますよ」
  5. お会計:「ありがとうございました。またお越しください」

よくある質問と回答例を用意

Q:賞味期限はどれくらいですか?
A:開封前なら冷暗所で3ヶ月、開封後は冷蔵庫で1週間です。

Q:添加物は入っていますか?
A:砂糖だけで煮詰めています。保存料・着色料は使っていません。

Q:ギフト用の包装はできますか?
A:はい、◯◯円で承ります。

ポイント

  • 紙に書いて、レジ横に置く
  • 新しい質問が来たら、追加する

モチベーションを保つ工夫

① 役割を明確にする

  • 「◯◯さんは煮込み担当」「△△さんは包装担当」
  • 責任感が生まれる

② 成長を見える化する

  • 「先月より◯個多く作れた」
  • 「お客様から褒められた」
  • 成長を共有し、褒める

③ 意見を聞く

  • 「もっと効率的なやり方はないか?」
  • 「困っていることはないか?」
  • 一緒に改善する

④ 感謝を伝える

  • 「ありがとう」「助かった」を日常的に
  • 小さなことでも認める

よくある失敗と対策

失敗①:手順書を作ったが、使われない

原因

  • 分かりにくい、長すぎる
  • 更新されていない

対策

  • シンプルに、写真を多く
  • 定期的に見直す

失敗②:教えたのに、できない

原因

  • 一度教えただけで終わり
  • 理解度を確認していない

対策

  • 繰り返し教える
  • 「分からないことはない?」と確認

失敗③:任せたら、品質が下がった

原因

  • チェック体制がない
  • フィードバックをしていない

対策

  • 定期的に品質チェック
  • 良い点と改善点を伝える

今日から始める5ステップ

  1. 主要な作業を3つ書き出す
  2. 1つ目の手順書を作る(写真付き、1ページでOK)
  3. チェックリストを作る
  4. 家族やスタッフに見せて、フィードバックをもらう
  5. 実際に使いながら、改善する

さいごに

作業標準化と人材育成は、「自分がいなくても回る仕組み」を作ることです。最初は手間がかかりますが、一度作れば、あなたの時間が生まれ、事業は成長します。

大切なのは、完璧を目指さず、小さく始めること。まずは主要な作業1つから。手順書1枚から。その積み重ねが、持続可能な事業を作ります。

あなたの知識と技術を、形に残す。
それが、事業の未来を作る第一歩です。

 

パッケージデザイン:売れる見た目と法令遵守の両立

はじめに

6次化で商品を作ったら、次に大切なのがパッケージです。どんなに美味しい商品でも、パッケージが魅力的でなければ手に取ってもらえません。一方で、食品表示には法令で定められたルールがあり、守らなければ販売できません。

本コラムでは、「売れる見た目」と「法令遵守」を両立させるための実務ポイントをお伝えします。

※食品表示の詳細なルールは複雑で、商品や販売形態により異なります。必ず管轄の保健所や専門機関にご相談ください。

パッケージが果たす3つの役割

① 商品を保護する

  • 中身を守る(破損、汚れ、乾燥、湿気)
  • 賞味期限内の品質を保つ

② 情報を伝える

  • 商品名、原材料、賞味期限、製造者情報
  • 法令で定められた表示は必須

③ 購買意欲を高める

  • 棚で目立つ
  • 商品の価値を伝える
  • 「買いたい」と思わせる

売れるパッケージデザインの5原則

原則① 遠くからでも目立つ

実践方法

  • 色のコントラストを明確に(背景と文字)
  • 商品名は大きく、遠くからでも読める
  • 情報を詰め込みすぎない

:ジャムなら、果物の写真+大きく「いちごジャム」

原則② 商品の価値を一目で伝える

伝えるべき価値

  • 「地元産」「無添加」「手作り」「季節限定」
  • 「米粉100%」「規格外野菜活用」

  • 「朝採れいちごの手作りジャム」
  • 「米粉100% ふわふわシフォン」

原則③ ターゲットに合ったデザイン

ターゲット デザインの方向性 色・フォントの例
若い女性 おしゃれ、かわいい パステルカラー、手書き風
主婦層 安心、信頼、実用的 ナチュラルカラー、読みやすい
ギフト用途 高級感、特別感 落ち着いた色、上質な素材

原則④ ブランドの統一感を作る

統一する要素

  • ロゴ:同じロゴを全商品に
  • 色:ブランドカラーを決める
  • フォント:同じ書体を使う

原則⑤ 開けやすさ・使いやすさ

  • 開封口が分かりやすい
  • 再封可能(ジッパー付き袋、蓋付き容器)
  • 持ちやすいサイズ、重さ

低コストで始めるパッケージ作成

【初級】既製品の袋・容器+シールラベル

方法

  • 透明袋、クラフト袋、瓶などの既製品を購入
  • 自分でデザインしたラベルシールを貼る

おすすめツール

  • ラベルシール:A4サイズのシール用紙
  • デザイン:Canva(無料)、PowerPoint、Word

コスト例:1個あたり20〜30円程度

【中級】印刷会社に発注

発注先の例

  • ネット印刷(ラクスル、プリントパックなど)
  • 地元の印刷会社

コスト例:1個あたり30〜100円程度

【上級】デザイナーに依頼

依頼先の例

  • フリーランスデザイナー(ココナラ、クラウドワークスなど)

コスト例:ロゴ+パッケージデザインで10〜30万円

食品表示の基本

※以下は一般的な考え方です。必ず保健所や専門機関にご相談ください。

表示が必要な主な項目

  1. 名称:商品の一般的な名前
  2. 原材料名:使用した原材料を多い順に記載
  3. 内容量:グラム(g)、ミリリットル(ml)など
  4. 賞味期限または消費期限
  5. 保存方法
  6. 製造者または販売者:氏名、住所
  7. アレルゲン:卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そば、くるみ
  8. 栄養成分表示:一部の小規模事業者は省略可能な場合あり

表示のルール

  • 文字の大きさ:原則8ポイント以上
  • 表示場所:容器または包装の見やすい場所
  • 言語:日本語で表示

対策:保健所に事前相談、食品表示の手引き(消費者庁)を確認

デザインと表示を両立させるレイアウト

パターン① 表面=デザイン、裏面=表示

  • 表面:商品名、写真、キャッチコピー
  • 裏面:原材料、賞味期限、製造者情報など

向いている商品:袋入り商品、箱入り商品

パターン② 一括表示欄を目立たせない工夫

  • 表示欄を小さめの枠で囲む
  • 背景色を薄くして、デザインを邪魔しない

向いている商品:瓶詰め、小袋商品

パッケージ作成の実務ステップ

  1. 商品の特性を整理する(ターゲット、販路、強み)
  2. 参考デザインを集める
  3. デザインの方向性を決める(色、フォント、キャッチコピー)
  4. 表示内容を保健所に相談
  5. 試作・印刷
  6. テスト販売で反応を見る

パッケージ改善のチェックリスト

  •  3メートル離れても商品名が読めるか
  •  商品の価値が一目で伝わるか
  •  ターゲット層に合ったデザインか
  •  開けやすいか
  •  法定表示項目がすべて記載されているか
  •  アレルゲンは正確に表示されているか

今日から始める5ステップ

  1. ターゲットと商品の強みを書き出す
  2. 参考デザインを3つ集める
  3. 保健所に表示内容を相談
  4. ラフデザインを手書きで描く
  5. 既製品+ラベルシールで試作

さいごに

パッケージは、商品の顔です。どんなに美味しい商品でも、パッケージが魅力的でなければ、手に取ってもらえません。一方で、法令を守らなければ、信頼を失い、販売もできません。

大切なのは、「売れる見た目」と「法令遵守」を両立させること。最初から完璧を目指す必要はありません。低コストで小さく始め、お客様の反応を見ながら改善していく。

まずは既製品の袋+手作りラベルから。そして保健所に相談しながら、正しい表示を。見た目と信頼、両方を大切に。

※食品表示の詳細は、必ず管轄の保健所または専門機関にご相談ください。

 

SNSとWebを使った情報発信:投稿ネタの作り方と、ファンを増やす継続のコツ

はじめに

6次化で商品を作ったら、次は「知ってもらう」ことが必要です。広告費をかけずに認知を広げる最も有効な手段が、SNSとWebでの情報発信です。

しかし、多くの事業者が「何を投稿すればいいか分からない」「続かない」という壁にぶつかります。大切なのは、完璧な投稿を目指すことではなく、小さく続けること。そして、商品の宣伝だけでなく、日常や想いを伝えることで、ファンが育っていきます。

本コラムでは、投稿ネタの作り方、継続するための仕組み、そしてファンを増やす実践的なコツを、現場目線でお伝えします。

なぜSNS・Web発信が必要なのか

SNS・Web発信がもたらす4つの価値

① 認知の拡大

  • 地域を超えて、全国の人に届く
  • 検索やシェアで、思わぬ人に見つけてもらえる

② 信頼の構築

  • 顔が見える、想いが伝わる
  • 「この人から買いたい」という気持ちが生まれる

③ リピーターとのつながり

  • 新商品、イベント情報を直接届けられる
  • コメントやメッセージで対話ができる

④ 販売機会の創出

  • 投稿を見て「買いたい」と思ってもらえる
  • ECサイトやマルシェへの導線になる

ポイント:SNSは「売る場」ではなく、「関係を作る場」

主要SNS・Webツールの特徴と使い分け

【Instagram(インスタグラム)】

特徴

  • 写真・動画がメイン
  • 20〜40代の女性ユーザーが多い
  • ハッシュタグで新規ユーザーにリーチ

向いている商品・事業者

  • 見た目が魅力的な商品(スイーツ、加工品、農産物)
  • 世界観・ストーリーを伝えたい
  • ギフト・贈答用途の商品

投稿内容の例

  • 商品の写真(断面、盛り付け、パッケージ)
  • 製造過程、畑の様子
  • お客様の声、使い方の提案
  • イベント出店情報

【Facebook(フェイスブック)】

特徴

  • 文章もしっかり読まれる
  • 30〜60代のユーザーが中心
  • 地域コミュニティ、グループ機能が強い

向いている商品・事業者

  • 地域密着型の事業
  • ストーリーや背景をしっかり伝えたい
  • イベント告知、参加募集

投稿内容の例

  • 商品開発の背景、想い
  • 生産者の日常、季節の話題
  • イベントレポート、お客様との交流
  • 地域の情報、コラボ企画

【LINE公式アカウント】

特徴

  • 登録者に直接メッセージを届けられる
  • 開封率が高い(メールより読まれやすい)
  • クーポン、予約機能が使える

向いている商品・事業者

  • リピーター育成を重視
  • 限定情報、特典を提供したい
  • 予約販売、イベント告知

配信内容の例

  • 新商品のお知らせ
  • 限定販売、先行予約
  • クーポン、特典情報
  • レシピ、食べ方の提案

【自社ホームページ・ブログ】

特徴

  • 情報を体系的にまとめられる
  • 検索エンジン(Google)からの流入が期待できる
  • 自分の「資産」として蓄積される

向いている商品・事業者

  • 商品ラインナップが多い
  • ストーリー、こだわりをしっかり伝えたい
  • ECサイトと連携したい

掲載内容の例

  • 商品一覧、価格、購入方法
  • 生産者プロフィール、想い
  • よくある質問、お客様の声
  • ブログ(日々の活動、レシピなど)

投稿ネタの作り方

「何を投稿すればいいか分からない」を解決する、7つのネタカテゴリをご紹介します。

① 商品紹介

内容

  • 商品の写真、特徴、価格
  • 原材料、製法のこだわり
  • サイズ、賞味期限、保存方法

投稿例

  • 「米粉100%のシフォンケーキ。ふわふわ軽い食感が自慢です」
  • 「地元◯◯農家のいちごを使ったジャム。砂糖だけで煮詰めました」

ポイント

  • 商品の「良さ」を一言で伝える
  • 写真は明るく、美味しそうに

② 製造過程・舞台裏

内容

  • 仕込み、加工、包装の様子
  • 道具、設備の紹介
  • 失敗談、試行錯誤

投稿例

  • 「今朝は5時から仕込み。生地を寝かせている間にパッケージ準備」
  • 「試作3回目でやっと納得の味に。甘さ控えめがポイントです」

ポイント

  • 「作っている人の顔」が見えると、信頼が生まれる
  • 完璧でなくてOK。リアルな様子が共感を呼ぶ

③ 畑・原材料の様子

内容

  • 収穫の様子、季節の移り変わり
  • 生産者との交流
  • 天候、作柄の話題

投稿例

  • 「今年のトマトは甘みが強い!太陽をたっぷり浴びました」
  • 「◯◯さんの畑で規格外きゅうりを分けてもらいました。これがピクルスに」

ポイント

  • 「どこで、誰が作ったか」が見えると、安心感が生まれる
  • 季節感が伝わる投稿は、シェアされやすい

④ お客様の声・使い方提案

内容

  • お客様からの感想、レビュー
  • 食べ方、使い方のアイデア
  • ギフト、手土産の提案

投稿例

  • 「『子どもがパクパク食べました』と嬉しいメッセージ!」
  • 「ピクルスはサンドイッチに挟むと最高。お試しください」

ポイント

  • お客様の声は、第三者の信頼になる(許可を得て掲載)
  • 「こう使うと良い」という提案は、購入のきっかけになる

⑤ イベント・販売情報

内容

  • マルシェ、イベント出店のお知らせ
  • 新商品発売、限定販売
  • 営業日、休業日の案内

投稿例

  • 「今週末、◯◯マルシェに出店します!試食もご用意」
  • 「季節限定のゆずジャム、今年は50個だけ。なくなり次第終了です」

ポイント

  • 日時、場所、価格を明確に
  • 「限定」「今だけ」は行動を促す

⑥ 日常・想い・ストーリー

内容

  • なぜこの仕事を始めたか
  • 大切にしていること
  • 日々の気づき、感謝

投稿例

  • 「規格外野菜を捨てるのがもったいなくて、加工を始めました」
  • 「お客様の『美味しかった』の一言が、何よりの励みです」

ポイント

  • 「人」に共感してもらうことで、ファンが育つ
  • 売り込みではなく、想いを伝える

⑦ 地域・季節の話題

内容

  • 地域のイベント、風景
  • 季節の行事、旬の食材
  • コラボ企画、地域の仲間紹介

投稿例

  • 「桜が満開。春の訪れを感じながら、いちごジャムを仕込んでいます」
  • 「近所の◯◯さんと一緒に、マルシェに出店します」

ポイント

  • 地域の魅力を発信することで、地域全体のファンが増える
  • コラボは互いのフォロワーにリーチできる

継続するための仕組みづくり

① 投稿カレンダーを作る

やり方

  • 月初に、1ヶ月分の投稿予定を立てる
  • 曜日ごとにテーマを決める

  • 月曜:商品紹介
  • 水曜:製造過程
  • 金曜:イベント情報、お客様の声

効果

  • 「何を投稿するか」で悩まなくなる
  • 計画的に情報を出せる

② ネタをストックする

やり方

  • 日常の中で「これ投稿できそう」と思ったら、写真を撮る
  • スマホのフォルダに「SNS用」を作り、まとめておく

ストックしておくと便利な写真

  • 商品の写真(複数アングル)
  • 製造過程
  • 畑、原材料
  • イベントの様子
  • お客様との交流(許可を得て)

効果

  • 忙しい日でも、ストックから選んで投稿できる

③ 投稿時間を決める

おすすめの時間帯

  • 朝7〜8時(通勤時間)
  • 昼12〜13時(休憩時間)
  • 夜20〜21時(リラックスタイム)

やり方

  • 「毎週水曜の朝8時」など、ルーティン化する
  • 予約投稿機能を使う(Instagram、Facebookは可能)

効果

  • 習慣になり、続けやすい
  • フォロワーも「この時間に投稿がある」と認識

④ 完璧を目指さない

よくある失敗

  • 「良い写真が撮れるまで投稿しない」
  • 「文章を何度も書き直して、結局投稿しない」

対策

  • 60点でOK。投稿しないより、投稿する方が100倍良い
  • スマホで撮った写真で十分
  • 短い文章でOK(1〜3行でも伝わる)

ポイント

  • 継続が最も大切。完璧主義は続かない

⑤ 反応を楽しむ

やり方

  • 「いいね」「コメント」がついたら、必ず返信
  • 「シェアしてくれた」「タグ付けしてくれた」ら、お礼を伝える

効果

  • コミュニケーションが生まれ、ファンが育つ
  • 「反応がある」とモチベーションが続く

今日から始める5ステップ

ステップ1:使うSNSを1つ決める

  • 最初は1つに絞る(Instagram、Facebook、LINEのいずれか)

ステップ2:プロフィールを整える

  • 何をしている人か、どこで買えるか、を明記
  • プロフィール写真は、顔または商品

ステップ3:投稿カレンダーを作る

  • 週1回から始める
  • 曜日とテーマを決める

ステップ4:写真を10枚ストックする

  • 商品、製造過程、畑など、今あるものでOK

ステップ5:1投稿目を投稿する

  • 「はじめまして」の自己紹介でOK
  • 完璧を目指さず、まず投稿

さいごに

SNS・Web発信は、「続けること」が最大の成果です。最初は反応が少なくても、3ヶ月、半年と続けることで、少しずつファンが増えていきます。

大切なのは、完璧な投稿ではなく、あなたの日常、想い、商品への愛情を、素直に伝えること。その積み重ねが、「この人から買いたい」という気持ちを育てます。

まずは週1回、1枚の写真と3行の文章から。小さく始めて、楽しみながら続ける。それが、ファンを増やす一番の近道です。

発信は、未来のお客様との出会いの種まき。
今日蒔いた種が、半年後、1年後に花開きます。

 

後編:布田ファームの挑戦 ~農福連携×販路×発信で「続ける・育てる」

はじめに

「株式会社布田ファーム(Irodori.Kitchen)」は宮城県岩沼市にあるお米ときゅうりをメインに生産している農家です。自身で育てたお米や季節野菜を使い、米粉スイーツや総菜を製造・販売しています。また、障害者就労支援B型事業所の施設外就労を受け入れています。今回も、主にきゅうりの生産などを手掛ける布田幸子さんと2児の母で農家に嫁いできたこときっかけに加工業を始めた布田彩さんにお話しを伺いました。

後半では農福連携や販促について、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします。

農福連携(障害者就労支援B型)で季節のボトルネックを解消

Q.連携のきっかけと、軌道に乗るまでの流れは?

(幸子さんは)介護・障害者施設の生活支援員として働いた経験があり、皆さんの仕事ぶりを知っていました。きゅうりを始めた当初から来てもらいましたが、重量・長さなどの規格ごとの仕分けは難度が高く、最初はうまく連携できない場面もありました。そこで市役所紹介の「農福連携セミナー」に参加し、「きゅうりに時間を取られて他の畑仕事ができない」という課題を共有。間に入ってくれたNPO法人の方から障害者就労支援B型事業所を紹介いただき、工賃などを取り決めて正式に連携を開始しました。

Q.現在、どのような作業を担ってもらっている?

草取りや大根の収穫・洗浄・袋詰め、種まき、白菜の管理など畑全般をB型の皆さんが担当。私たちはきゅうりに専念できる体制です。ピーク期(6月中旬〜)に手薄になる夏野菜(オクラなど)の種まきから定植までを任せられるようになり、夏場の収入確保につながっています。

販路と発信―SNSとマルシェで「見つけてもらう」

Q.SNSを始めた狙いと工夫は?

取り組みを知ってもらう手段が少なかったため、写真中心のInstagramが集客に最もつながると考え、ビジネスアカウントを開設しました。なかなか投稿できない時もありますが、イベント情報や販売スケジュールを見やすく投稿するよう心掛けています。先輩農家さんや6次化に取り組んでいる皆さんのデザイン・見せ方も参考にしながら無理なく続けています。

Instagramはこちらから!

株式会社布田ファーム @fuda_farm

Irodori.kitchen(加工部門) @iro.k_iwanuma

Q.マルシェ出店時のお客様の反応は?

「米粉100%」「県内産中心の原材料」を求める方が多く、グルテンフリー志向のお客様にも喜ばれます。試食後のリピート購入や「小さな子にも食べやすい(はちみつ不使用)」という声が励みです。他のマルシェ参加者さんの包装の仕方や商品などを見て気づくことも多く、情報収集と学びの場としても有効だと感じています。

支援事業で得たことと、6次化への実践ポイント

Q.印象に残った支援は?

事業計画・メニュー開発・機器選定・衛生指導まで、立ち上げに必要な要素を一気通貫で伴走いただけたこと。自分たちだけでは分からないまま続けてしまう部分をプロの視点で補ってもらえました。規格外きゅうりの価値化(ピクルス)も、その延長線上の成果です。

Q.6次化に挑む生産者へメッセージをお願いします。

「やりたいことを言語化して発信する」ことが第一歩です。補助事業の活用や人脈の広がりはそこから生まれます。外部の力を借りれば実現できることは増えますし、情報収集もしやすい時代です。面白そう・食べてみたいと感じたらアンテナを張って動くことが大切です。情報発信と学びの両輪で、少しずつでも前進するのが大切だと思います。


布田ファームの歩みは、身近な資源を丁寧に磨き、外部の力も取り込みながら「できること」を積み重ねていく実践例です。これから6次化に踏み出す方のご参考になりましたら幸いです。

[インタビュー企業紹介]

株式会社布田ファーム Instagram @fuda_farm

Irodori.kitchen(加工部門) Instagram @iro.k_iwanuma

前編:布田ファームの挑戦 ~地域資源×加工×支援で「はじめの一歩」を形に

はじめに

「株式会社布田ファーム(Irodori.Kitchen)」は宮城県岩沼市にあるお米ときゅうりをメインに生産している農家です。自身で育てたお米や季節野菜を使い、米粉スイーツや総菜を製造・販売しています。また、障害者就労支援B型事業所の施設外就労を受け入れています。今回は、主にきゅうりの生産などを手掛ける布田幸子さんと2児の母で農家に嫁いできたこときっかけに加工業を始めた布田彩さんにお話しを伺いました。

支援事業参加の背景と、加工のきっかけ

Q.支援事業へ参加したきっかけは何ですか?

加工場の設整備と機材導入の補助金に応募した際、加工を本格化するには食品衛生の指導が不可欠だと考え、衛生面の支援も合わせて申請しました。

Q.実際に参加してみてどうでしたか?

経営の事業計画づくりから着手しました。メニュー開発は料理研究家の佐藤千佳さんにご指導いただき、機材面はホシザキさんの協力で、規格外きゅうりのピクルスが製品化しました。味のベースは先生のレシピを起点に派生していっています。プロの知見と機械の使い方まで伴走いただけたのが大きかったです。

Q.加工を始めた経緯は?

原点は幸子さんが作っていたシフォンケーキがきっかけです。「Komeco.Factory」という屋号でした。米価が安い時期に「付加価値をつけたい」と考え、直売所(ハナトピア岩沼)で小さく販売していました。彩さんが結婚を機に家に入り、妊娠中にきゅうり栽培を手伝いながら米粉菓子の製造も開始しました。お客様の定着と需要増に伴い、プレハブの小さな加工場では限界が見え、市役所に相談。支援制度の紹介を受け、現在のIrodori.Kitchenへ発展しました。

地域食材へのこだわりと、行政との橋渡し

Q.事業を進めるうえで大事にしていることは?

「なるべく地域の食材を使う」ことです。自分たちの米・きゅうりを軸に、ハナトピア岩沼時代から付き合いのある生産者さんの農産物を仕入れます。りんご・姫りんご・ゆず・しいたけ・いちじくなど旬の食材を取り入れ、季節ごとの美味しさを商品に生かしています。


後編では農福連携や販促について、そしてこれから6次産業化を目指す生産者へのメッセージをお届けします!

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