目次
はじめに
「燦燦園・ベリープラネット」は宮城県山元町及び仙台市に位置するイチゴ農園です。イチゴの栽培からイチゴ狩り、イチゴを使ったスイーツの開発・販売を行っています。仙台に新しくオープンした「仙台ハーベストビレッジ」内では、イチゴ専門スイーツカフェ「甘熟イチゴ屋 燦燦園ハーベストビレッジ店」が新オープン。また、「イチゴ狩り体験」もできます。地域農業の新しい形を模索する燦燦園。気候変動への対応やインバウンド需要の取り込みなど、様々な挑戦について代表取締役 深沼陽一さんにお話を伺いました。

支援事業参加の背景
Q.支援事業に参加したきっかけは何ですか?
ララガーデン長町にある甘熟イチゴや 燦燦園(ララガーデン店)の時から支援事業にはお世話になっていました。「農業、イチゴはどこまでいけるのか」というのを追求したかったんです。
催事はやっていましたが、飲食店をやっていく、イチゴスイーツをつくって出荷していくうえで知らないことが多かったです。そういったことを学びたく支援事業に参加しました。
教えてもらったことも多かったですし、人との繋がりも持たせてもらったので気軽に聞けるのはありがたかったです。
Q.6次化をはじめたきっかけは?
農業の経営の中で、イチゴの可能性をもっと広げたいと思いました。生産だけではなく、加工や販売、体験まで含めて、農業の付加価値を総合的に高めていきたいと考えました。

気候変動と苗の危機
Q.燦燦園で栽培している品種について教えてください。
「とちおとめ」と「紅ほっぺ」を中心にやってます。実は宮城県内の生産者のほとんどが「もういっこ」と「にこにこベリー」という品種に切り替えてます。ただうちで一番頑張っているのはあくまでも「とちおとめ」と「紅ほっぺ」で、あとは「かおり野」や「もういっこ」や「にこにこベリー」等の品種もあります。
Q.2025年のイチゴ栽培はどうでしたか?
本当に大変でした。まず、暑さ対策のために津波被災地の涼しい場所に新しい育苗ハウスを作ったのですが、そこで大きなヒューマンエラーを起こしてしまいました。うちの父が育苗をしていた場所がすごく涼しくて風が入るので、そこで2、3年前に育苗をしてみたら、やっぱり良かったです。ただそこは津波を浴びた後なので、何もないところで、水道管が通ってないです。水道を通すにはだいぶ遠くから引っ張る必要があり、それはあとでやろうねと言いながら、井戸水を利用しています、井戸水を一時貯蔵するタンクに念のため塩素を少し入れて除菌していたのですが、2人が同じ作業をしてしまい、2回塩素が入った濃度が高い水で水やりをしてしまいました。その水がかかった苗は全て倒れました。最初は「除草剤かけられたかな」と思ったくらいショックでしたね(笑)。そこから色々と調べ、周りの農家の仲間にも見てもらったら、除草剤の枯れ方ではないと。それで井戸水を調べたら、塩素濃度が高すぎたと判明しました。

Q.その危機をどう乗り越えましたか?
いろんな仲間から苗をいただいて、なんとか80〜90%くらいまで回復できました。今はチェックリストができたので、もうそういうことはないです。本当にびっくりするくらい6万本も倒れましたから。
Q.2025年の気候はイチゴの生育に影響ありましたか?
ありました。今年に関してはやはりあまりにも暑い日がずっと続いて、暑いのはわかっていましたが、その暑さが自分たちの常識を超えていました。その影響でやっぱり病気等がすごく出ました。それと全国的に、イチゴの一番果が非常に早く出てきてしまいました。その結果、クリスマスの時期にケーキに乗せる小ぶりなイチゴが全国的に不足しました。今までにないことです。
栃木で主に生産する品種が「とちあいか」に変わったのも影響しています。とちあいかは基本的にクリスマスは狙わない品種なので、一番産地が狙わなくなっちゃった。玉が小さくならないのでクリスマスにケーキに乗せられないです。一番産地が狙わなくなったので、余計に気候的の問題も重なり大変でした。
大変ではありますが、気候変動への対応も続けて、技術的な工夫を重ねながら、お客様に喜んでもらえるイチゴを作り続けることが、私たちの使命だと思っています。

お客様対応とインバウンド需要
Q.お客様への対応で心がけていることは?
イチゴ狩りの時にどうしてもイチゴが少ないときは、イチゴのパックをお渡しするときもあります。元気に気持ちよく帰っていただくのが絶対です。お客さんに状況を説明して、「こいつらなら許す」と思ってもらえる関係性を築くことも大事だと思っています。極力お客様がいらっしゃる時は出てきて様子見たり話しかけたり、コミュニケーションを大切にしています。
Q.インバウンドのお客様は増えてますか?
はい、去年も結構来てもらったんですけど、今年に関してはそのお客さんからまた連絡来たり、ツアー会社から連絡が来たりします。特に台湾や上海からのツアーのお客様が来てくださっています。
1件あたり20〜40名くらいで、銀山温泉や松島観光と組み合わせて訪問されます。台湾では1パック1,500円で販売されるイチゴが、日本では食べ放題で楽しめるというのが大きな魅力みたいです。
Q.インバウンドのお客様の反応はいかがですか?
すごい元気に喜んでくれるんですよ。スケジュールがタイトなツアーも多いですけど、お客様とのコミュニケーションを大切にしながら、丁寧に対応しています。

今後の展望、6次化の更なる挑戦
Q.今後力を入れていきたいことは?
農業の付加価値向上です。ただ値段を上げるという話ではなく、総合的な付加価値を上げていきたい。つまり「体験」ですね。商売でいうと3000円のものを4500円で売るというのではなく、イチゴも買って、これもやってこれもやって結果4500円だったという形です。ララガーデンとか他のお店で商品を買った人が、ハーベストビレッジまで来てイチゴ狩りをしてくれるとか、そういったことも含まれます。
食育のイベントも力を入れています。
また、3つハウスがあるなかで、1つのハウスでわんちゃんとイチゴ狩り体験というイベントも行いました。繁忙期過ぎたGW明けに挑戦してみましたが、反響があってとてもよかったです。
今はハウスを少し改造中です。ハウスの中で素敵な体験をできる環境を整えている最中です。イチゴ狩りをした人が非日常感を味わえる空間にし、滞在時間を増やしたいと考えています。
今のものを伸ばしていくのも大事だけど、0→1を創る。ないものを創っていけたらいいなと思っています。
Q.6次化に挑む生産者へメッセージをお願いします
6次化は大変ですよ。今でもまだまだ挑戦中です。
6次化の考え方として、今捨てているものを加工して売ろうという定義がありますが、これだとたいしたことになりません。お金にならず、ただ大変なのでやらなくてもいいと思います。設備投資したとしても、ダメになったイチゴはこれしかないから作れないということが起こります。自分の出荷量を落とすくらいに考えていく必要があります。その方が面白くなります。販売先やケーキ屋さんとかみんな6次化をしています。そういったところを見てみるとヒントがあるのかなと思います。

さいごに
燦燦園・ベリープラネットの挑戦は、地域支援が単なる「助け」ではなく、「ともに挑戦するパートナーシップ」であることを示しています。一つひとつの課題に泥臭く向き合う姿勢が、地域農業の可能性を広げています。
これから6次産業化に挑戦しようと考えている方は、ぜひ燦燦園・ベリープラネットの取り組みを参考にしてみてください。
【インタビュー企業HP】
いちご屋燦燦園:@sunsunen.ichigo
甘熟イチゴや 燦燦園:@ichigo_sunsunen
仙台ハーベストビレッジHP:https://sendai-harvestvillage.com/