目次
はじめに
「自然卵農園株式会社」は南三陸町に位置し、自社養鶏場にてこだわりの自然卵「卵皇(らおう)」を生産。また、「卵皇(らおう)」を核に、クレープやプリンなどの菓子を製造・販売している企業です。2004年のキッチンカーからスタートし、現在は青葉区五橋の「自然卵のクレープ 五橋店」と、南三陸町ハマーレ歌津商店街の工場兼店舗を運営。店舗運営に加え、卸売やフランチャイズ展開にも取り組んでいます。震災を乗り越え、自然養鶏と菓子づくりを融合させて歩んできた代表取締役 大沼あかねさんに、6次化の実践と商品づくりについてお話を伺いました。

支援事業参加の背景
Q.支援事業へ参加したきっかけは何ですか?
養鶏の拡大を目指していましたが、何から手をつければよいか分からず、専門家に伴走してもらいたいと思い参加しました。
Q.実際に参加してみてどうでしたか?
入口は「経営の見える化」でした。数字を見る習慣が根づき、経費の使い方など、意思決定の精度が上がりました。感覚だけに頼らず、事業の状態を数字で把握する重要性を実感しました。
自然卵「卵皇」へのこだわり
Q.「卵皇」へのこだわりは?
菓子づくりが原点なので「臭みを出さない卵」を目指しています。たっぷり運動させて卵白の弾力を引き出すこと、自由に歩ける飼育(平飼い)で健やかに育てること、餌にこだわることを大切にしています。一般に卵黄を濃厚にするため魚粉を使う場合がありますが、臭みの原因になり得るので、緑餌(生の草や野菜、葉物などの植物性飼料)を取り入れています。地域の農家さんから廃棄予定の野菜を譲っていただくなど、循環型の取り組みも重視しています。
菓子づくりの哲学—素材と職人技
Q.お菓子づくりで大切にしていることは何ですか?
「素材を活かすため、余計なものは入れない」ということです。一般に臭み消し目的で使うバニラエッセンスや、膨張剤(ベーキングパウダー)は使用しません。うちには強いメレンゲが立つ卵白があるので、シフォンケーキも膨張剤なしで焼き上げます。卵の強さは、鶏の運動量と餌がポイントです。
Q.技術面でのこだわりは?
一番大切にしているのは「職人技」。すべて手づくりで、湿度や生地の状態を肌感覚で調整します。例えばエンゼルフードケーキ(シフォンケーキの元祖)だと、工場に3人スタッフがいても、うちのクオリティで焼けるのは1人だけというような難しさがあるほど繊細です。卵も日により弾力が違うため、メレンゲの立て方も一定ではありません。経験に基づく微調整が品質を支えています。
Q.商品コンセプトは?
町の中の「ダサかわ」を狙っています。ちょっとダサいけどかわいい。素朴で、日持ちはしないけれど食べやすくおいしい。だからこそリピートしたくなる。派手さより“ずっと売れ続ける菓子屋”のイメージを大切にしています。

次回の後編では、事業の始まりと震災を経て自然養鶏へ転機を迎えた歩み、フランチャイズ展開、多様な働き方への貢献、そして6次化を目指す方へのメッセージをお届けします。
[インタビュー企業]
自然卵農園株式会社
「自然卵農園菓子工房」 Instagram @sizentamago_kasikoubou
南三陸町ハマーレ歌津商店街内
https://hamare-utatsu.com/welcome/welcome.cgi?item=231128152020
「自然卵のクレープ 五橋店」 Instagram @ofm_szts
宮城県仙台市青葉区五橋2丁目11−18 第三ショーケービル壱号館1F
五橋駅(南出口1)より徒歩3分