経営コンサルタント直伝コラム

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インナーブランディングの進め方と具体的な方法-後半-

はじめに

前回は、インナーブランディングの重要性と基礎知識について解説しました。今回は、地域の農業や漁業、林業の現場でインナーブランディングを進めるための具体的なステップと方法を紹介します。

インナーブランディングの進め方

現状認識

まずは、地域の事業や組織内で、理念やビジョンがどの程度浸透しているかを把握することが重要です。

  • アンケート調査:従業員や関係者に、事業の目的や価値観についてどの程度理解しているかを尋ねる。
  • 個別インタビュー:地域の生産者や従業員に直接話を聞き、課題や意見を収集する。
  • 地域の声を聞く:地域住民や関係者が事業に対してどのようなイメージを持っているかを確認する。

 

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を明確にする

インナーブランディングの基盤となるのが、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)です。これらを明確に定義し、組織内で共有することで、事業の方向性を示します。

  • ミッション(Mission):地域資源を活用し、持続可能な産業を育てるという使命。
  • ビジョン(Vision):地域の未来を支える産業として、次世代に誇れる事業を目指す。
  • バリュー(Value):自然環境を守り、地域文化を尊重しながら事業を進めるという価値観。

 

これらは、具体的でわかりやすい言葉で表現することが重要です。例えば、「地域の海を守りながら、世界に誇れる水産業を育てる」といった形で、従業員が日々の業務で実感できる内容にします。

計画を立てる

MVVを明確にしたら、それを浸透させるための計画を立てます。計画を立てる際のポイントは以下の通りです。

  • 長期的な視点を持つ:インナーブランディングは短期間で成果が出るものではありません。例えば、3年計画で地域のブランド価値を浸透させる目標を設定します。
  • 経営層の理解を得る:地域のリーダーや経営者が積極的に関与することで、活動がスムーズに進みます。

 

社内浸透させる

計画に基づき、具体的な施策を実行します。現場で活用できる方法を以下に示します。

  • 地域イベントの開催:地域住民や従業員が参加できるイベントを通じて、事業の理念やビジョンを共有する。
  • トップメッセージ:地域のリーダーや経営者が直接理念やビジョンを語り、従業員や関係者に想いを伝える。
  • クレドの作成:地域の特性を反映した行動指針を簡潔にまとめ、従業員が日々の業務で活用できるようにする。
  • 社内報やSNSの活用:地域の事業活動や理念をわかりやすく発信し、従業員や関係者に共有する。

 

最後に

現場でインナーブランディングを進めることは、事業の持続可能性を高めるだけでなく、地域全体の活性化にもつながります。従業員や関係者が事業に誇りを持ち、地域の魅力を発信することで、地域ブランドの価値が広がります。

ぜひ、今回ご紹介したポイントや方法を参考に、インナーブランディングに取り組んでみてください。地域の未来を支える産業として、次世代に誇れる事業を目指しましょう。

インナーブランディングの重要性と基礎知識-前半-

はじめに

近年、企業のブランド価値を高めるためにブランディングに注力する動きが広がっています。農業や漁業、林業など地域に根ざした産業においても、ブランド価値を高めることは、地域資源を活用した事業の発展や後継者の確保、地域の活性化につながります。

ブランディングには、社外に向けた「アウターブランディング」と、社内に向けた「インナーブランディング」の2つがあります。今回は、企業や組織の内側からブランド価値を高める「インナーブランディング」に焦点を当て、その重要性と基礎知識を解説します

インナーブランディングとは?

インナーブランディングとは、企業や組織が社員やメンバーに対して行うブランディング活動を指します。農業や漁業、林業などの現場では、従業員や地域の関係者が「自分たちの仕事や地域に誇りを持つ」ことが、事業の継続や発展において非常に重要です。

具体的には、以下のような活動を通じて、組織内のメンバーが共感や愛着を持つよう促します

  • 理念やビジョンの共有:地域資源を活用した事業の目的や未来像を明確にし、メンバーに伝える。
  • 価値観の浸透:地域の自然や文化を守りながら事業を進めるという価値観を共有する。

 

これにより、以下のような効果が期待できます。

  • 離職率の低下:メンバーが仕事に誇りを持ち、地域に根付いて働き続ける。
  • 地域ブランドの向上:メンバーが地域の魅力を発信し、外部からの評価が高まる。
  • 後継者の確保:若い世代が地域の仕事に魅力を感じ、次世代の担い手として育つ。

アウターブランディングとの違い

インナーブランディングが社内や組織内のメンバーに向けた活動であるのに対し、アウターブランディングは顧客や取引先、地域住民、観光客など社外に向けたブランディング活動を指します。

例えば、地域の特産品をブランド化し、全国や海外に向けて発信することはアウターブランディングの一例です。一方で、地域の生産者や従業員がその特産品に誇りを持ち、積極的にその魅力を伝えることはインナーブランディングの成果と言えます。

インナーブランディングとアウターブランディングは相互に補完し合う関係にあります。社内外で一貫したブランド価値を浸透させることで、地域産業の信頼性が高まり、持続可能な事業運営につながります。

 

次回の後半では、インナーブランディングを実際に進めるための具体的なステップや方法について解説します。地域の農業や漁業、林業の現場でどのように活用できるか、具体的な事例を交えながらご紹介します。